阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −20−
東日本大震災支援活動(2)

 震災前に岩手県大船渡市で水産加工や低温流通の技術指導をした縁で、何か手伝いできることがないかと、被災企業の経営者や県・市の関係部門へ技術助言に巡回した。
 最初の活動は、津波と地盤沈下により壊滅的な被害を受けた漁業基地で、緊急に整備を求められている製氷設備を復旧するため岩手県の支援を受けながら、最適の製氷装置を関係者に助言指導をすること。
 魚市場周辺の製氷施設・冷蔵設備の復旧はようやく進み、遅れていた今年のサンマ漁の水揚げも約70%と回復してきた。
 大船渡地区の水産加工場は県・市の積極的な支援を受けているため、宮城県気仙沼地区に比べて復旧は早く、大手・中堅メーカーは操業を開始している。しかし中小企業ではいまだに復旧のめどが立たないところもあり、廃業に追い込まれている企業も少なくない。

わかめ養殖の発祥地の漁業組合への支援

 栽培期間が1年と最も短いわかめ養殖にも着目し、養殖いかだの復旧に日本技術士会水産部会の仲間と一緒に働きかけた。最初に養殖場のいかだを復旧するため、湾岸に流出した瓦礫回収対策として海中調査に協力した。その後、次第にいかだの再建が進み、今年のわかめ養殖の目途が立った。
 巨大な自然災害から復旧再建するには、今後膨大な資金と人的資源の支援が5年、10年の長期にわたって求められる。被災地の早期復興を期待している。

沿岸から内陸に移転し、工場再建