物流現場で進むロボ活用、ねらいはその先に
オリックスが新規導入したHIKVISION社の自動
搬送ロボット
物流大手や物流施設ディベロッパーにロボティクス・ＡＩなどの先端技術を導入する動きが広がっている。人手不足を背景に生産性向上と労働環境の改善が主目的だが、成功モデルをゆくゆくは新規事業に育て、外販するねらいもあるようだ。
鴻池運輸がベンチャーキャピタルのグローバルＩｏＴテクノロジーベンチャーズ�蝓陛豕�都千代田区）が運営する投資ファンドに出資するのも、この動きの一つだ。投資ファンドは先端技術の集積地であるイスラエルやインド、米国でロボットやＡＩなどのスタートアップ企業に投資している。
鴻池運輸は投資ファンドを通じ、そうしたスタートアップ企業と接点を持つことで新技術の導入を図る。さらに、創業150周年を迎える2030年に向け「新たな中核事業の発掘、育成に取り組む」としている。
センコーグループはロボットやＡＩの研究開発を手がける完全子会社のイノバテックスタジオ�蝓陛豕�都江東区）を昨年設立した。優秀なスタッフを国内外から集め、倉庫内の顔認証システムや、問い合わせに自動対応するチャットボットなどのシステム開発を進めている。グループ内外への販売をめざす。
ロボットをレンタル、シェアリングも
ダイワロジテックは搬送ロボットなどを活用した
シェアリングモデルを構築した
物流施設ディベロッパーでは、オリックスがロボットレンタル事業会社のオリックス・レンテックと共同で新規テナント企業向けに物流ロボットロボットは自動搬送ロボットや追従型搬送ロボット、パワーアシストスーツ、協働ロボットなど有力メーカーの製品を揃えた。この４月には新たに中国HIKVISION（ハイクビジョン）社の自動搬送ロボットと国内ＺＭＰ社の台車型物流支援ロボットを導入した。テナント企業には入居スペースの有効利用法やロボットの具体的な活用法などを提案している。
大和ハウス工業の子会社、ダイワロジテックは無人搬送ロボットや最新マテハンを荷主企業同士で共有するシェアリングモデルを昨年立ち上げた。荷主の費用対効果を高めるため、最新技術の導入に意欲的だ。物流施設内で協働ロボットの実証実験を行っているほか、ＡＩやロボティクスのスタートアップ企業に出資することも計画。将来的にはシェアリングモデルの外販や物流コンサルティング業への進出も視野に入れている。