被災した気仙沼工場のＤＮＡを引き継ぐ魚工場
ヤヨイ食品 気仙沼松川工場（１）
一昨年11月から稼働を開始したヤヨイ食品の気仙沼松川工場（宮城県気仙沼市、大石五月男工場長）は、魚製品を生産するだけでなく、気仙沼の再興、従業員の雇用確保の意味でも旧気仙沼工場のＤＮＡを引き継ぐ存在となっている。当初は鯖の煮魚５品８規格を生産していたが、今春はさんま、いわしなどの新商品が一気に加わった。大石工場長は「商品の幅を広げ、できるだけ早く稼働率10割達成を果たしたい」意向だ。
気仙沼松川工場の外観
被災前の気仙沼工場はヤヨイ食品の売上げの４割を生産する主力工場だった。
「さばの味噌煮」などの水産加工品のほか、米飯類、卵製品、畜肉加工品、やわらか食「ソフリ」などを生産していた。
しかし一昨年の大震災で操業停止を余儀なくされ、牛丼の具、ハンバーグ、メンチカツは福岡県大牟田市に同年８月立ち上げた九州第二工場で生産を再開している。ソフリも九州工場で復活した。
旧気仙沼工場は昨年で廃止が決まったが、当初「松川工場」としてスタートした現在の工場は「気仙沼松川工場」に名称を変更して魚製品の生産を引き継いでいる。
特に「さばの味噌煮」は全国の学校給食現場で児童生徒たちから復活を待ち望まれていた商品。一昨年の生産再開は大いに喜ばれ、学校給食の現場からも感謝とはげましの手紙が同社に届いたほど。味噌だれのおいしさはもちろん、鯖の味もしっかりと感じられ、ふっくらとした食感、魚の皮のはがれにくさなど、その完成度は32年間レシピをほとんど変更していないことからもわかる。
既存商品は学校給食向けの� 孱裡釘弭饂困気个量Ａ梗僉廖↓◆孱裡釘弭饂困気个寮胡�煮」、��「ＮＥＷ国産さばのみぞれ煮」がそれぞれ２規格。さらに外食向けの�す饂坤妊螢�さば味噌煮２Ｌ�ス饂坤妊螢�さば生姜煮２Ｌ――の５品８規格。
大石工場長
今春から新商品も加わった。煮魚はいわし、さんまにも魚種を広げるとともに、竜田揚げも生産するなど商品の幅を広げている。新商品「いわしのみぞれ煮」は国産の真いわしを醤油ベースの味噌ダレとあわせた。いわしは学校の節分イベント（２月）で良く使われる食材で、欠かせないアイテムの一つ。
「さんまの生姜煮」は国産さんまをまろやかな生姜ダレと合わせた。
外食・惣菜向けの「国産デリカ２Ｌ」２品はトップシール包装のミシン目つき２個連結タイプにして利便性を高めている。
同工場初の揚げ物となる「骨ごとあじの竜田揚げ」は尾頭を取り除いた国産あじを加圧処理により骨まで食べられるよう加工した。
「骨ごとさんまの竜田揚げ」は中骨を残した筒切りの国産さんまを使用した。南蛮漬けやあんかけにも使える。いずれも魚の味をそのまま伝えるため、味付けは塩だけ。
衣は米粉と馬鈴薯澱粉の香ばしい風味を出し、小麦、卵、乳アレルゲン原料は使用していない。