カット野菜工場、来年春操業へ
埼玉フーズ コールドセンター(2)

 埼玉フーズがこの冷蔵倉庫の取得を決めたきっかけは、主力のカット野菜の需要が増大しているためだった。カット野菜の主要ユーザーはファストフードやファミレスなど。同社が手がけるカット野菜は玉ねぎ、大根、にんじん、かぼちゃ、小松菜など様々で、アイテム数の多さで外食産業から支持を得ている。

コールドセンターA棟の外観、この一部がカット野菜工場になる

 本社に併設している第1工場の出荷量は1日およそ12〜13t。ここ数年需要が増えていたが、震災以降特に拍車がかかり、キャパは限界に達していた。「新規だけでなく、既存ユーザーからの生産要請にも応じられないことが続いていました。本社工場には拡張スペースはなく、別に工場を設けるしか方法はないと判断しました」(柿沼丈晴専務)という。
 950坪あるA棟の一部をカット野菜工場に組み替える。製氷室や砕氷室など1階部分を占める庫内は強固な作りをしており、加工場として充分な機能を果たせると見ている。これらの部屋を繋げて、衛生度を高めた加工場に改修。改修後のA棟はカット野菜工場と冷凍庫、冷蔵庫の機能を合わせ持つ建屋となる。本社工場と合わせ、生産能力は最大で従来の倍増となると見込んでいる。
 立地が川島インターチェンジから近く、物流面でも機能性が格段に向上するのを期待している。「当社にとって念願のカット野菜の第2工場。接車ゾーンの改修が完了すれば、物流機能も今までの比にならないでしょう。いい案件を引き継ぐことができました」と柿沼専務は語る。「地域の食を預かる冷蔵倉庫であるとともに、カット野菜の生産拠点に。ユーザーの要請に真摯に応じられるよう気を引き締めていきたい」と意気込んでいる。

FSSC22000認証へキックオフ

 カット野菜工場の操業は来年春を予定。本稼働が始まれば、スタッフの数も必要となる。本社工場からの応援とともに、新規でも採用。人材確保の困難を予測し、機械化・省力化を考慮した加工場となる。
 需要増に対応するために設けた第2工場(コールドセンター)だが、「急激な事業拡大は考えていません。着実に、一歩一歩前進を」と柿沼専務。「しっかりとした体制づくりは今後のカギ」と気を引き締める。
 それに呼応するように、FSSC22000取得に向けてのプロジェクトを立ち上げたばかり。同社が国際規格の認証に着手するのは初の試み。「初めてのことばかりで戸惑うことも。しかし、スタッフの能力、前向きな姿勢を信じていますから」と柿沼専務は笑みを浮かべる。本社工場と新たに加わったコールドセンター、この2拠点が認証取得に向け、間もなく同時にキックオフする。(シリーズ終わり)

本社工場の様子、カットする野菜の種類が豊富なため
外食産業などから支持を得ている

本社工場の様子、カット野菜の需要は増えており、
生産キャパは限界に達している