ICT技術を取り入れた農業技術普及を支援

 産業革新機構全国農業協同組合連合会農林中央金庫住友商事は、酪農・畜産農家向けにクラウド型牛群管理システムや牛個体管理センサーの開発・販売を行うファームノートホールディングス(=FNHD)の第三者割当増資を引き受け、総額5億円出資する。
 牧場経営では、牛の健康状態や効率的な繁殖に必要な発情・分娩兆候など、牛個体や牛群の情報を適時に把握することが重要。しかしながら、国内の農家の多くは、永年培った経験則や目視での観察結果を通じて得た情報を台帳等で管理しており、ICT技術を取り入れた体系的な牧場経営は浸透していない。
 FNHDは「世界の農業の頭脳を創る」をビジョンに、農業分野での人工知能、IoT、ビッグデータを活用し農業生産の効率化を推進している。既に①スマートフォンやタブレット端末で入力した生産データや、個体センサーなどから取得した情報をクラウドに集約し、これを基に解析した有益な牛群管理情報を利用者に提供して、牧場経営の効率化・合理化、酪農・畜産の生産性向上に貢献する「Farmnote」②牛の首に取り付けたセンサーで収集した発情や疾病兆候など、様々な情報を人工知能で解析し、牛の最適管理を実現する「Farmnote Color」を提供している。
 FNHDはこの増資を受け、農業分野での人工知能活用に向けた研究開発にさらに投資する。具体的には、昨年設立した農業への人工知能とIoT活用を目的とした研究組織である「Farmnote Lab(ファームノートラボ)」での研究開発を促進する。
 農業生産データの自動収集と人工知能を活用して農業の最適化を実現する統合プラットフォーム「Farmnote Connect」を酪農・畜産以外の農業分野にも広く展開し、国内農業全体の競争力を強化する。海外市場も視野に入れて取り組む。
 4者はFNHDが進める農業分野での新たなビジネスモデル、成長産業化に向けた取り組みに賛同し、支援するため増資を引き受けた。