コロナ禍で冷凍冷蔵機器メーカーも業績にダメージ

 冷凍冷蔵機器メーカー主要5社の2020年3月期決算と2020年12月期の第1四半期(1〜3月)決算が出そろった。新型コロナの感染拡大が始まった2020年1〜3月は経営環境が一変し、各社とも業績を落とした。外出自粛要請で経済活動が収縮し、国内外で投資意欲が減退した影響が大きい。

 富士電機が5月29日に発表した2020年3月期決算によると、自販機と冷凍冷蔵ショーケースを含む食品流通部門の売上高は前期比8%減の1044億円。営業利益は前期比35%減の38億円と減収減益だった。

 直近の2020年1〜3月に限れば売上高は前年同期比16%減の267億円、営業利益は73%減の7億円に減り、営業利益率は前年同期の8.1%から2.6%に低下した。

 食品流通部門の中でも、冷凍冷蔵ショーケースの店舗流通分野は、コンビニエンスストア向けの需要が減少したものの、原価低減等の推進で増益を確保した。店舗流通分野の今年4〜6月の見込みについて、同社は「6月中旬まで顧客の新店改装が中止されているため、第1四半期は対前年減収。第2四半期以降で回復見込み」としている。
 
 フクシマガリレイの2020年3月期の業績は、冷凍冷蔵庫やショーケースの販売が堅調で、売上高は前年とほぼ横ばいの868億円で着地した。営業利益は3.4%減の90億円だったが、これは本社移転費用などが発生したため。直近の2020年1〜3月はトンネルフリーザーの引き渡しが集中したこともあって、売上高、営業利益とも前年同期より増やしたが、主力の冷凍冷蔵庫は急減速しているという。

海外市場の落ち込みが大きく影響

 ホシザキの2020年12月期の第1四半期(2020年1〜3月)は、売上高が前年同期比4.6%減の725億円、営業利益は0.9%減の95億円と減収減益だった。国内は冷蔵庫や製氷機のほか、新型コロナの感染防止に効果があるとされる電解次亜水生成装置の拡販に取り組んだ。売上高は前年同期比2.5%減だったものの、セグメント利益は1.2%増を確保した。

 一方、海外は営業・生産活動の制約で受注環境が悪化し、欧米・アジア市場で売上高、セグメント利益とも減少した。

 中野冷機の2020年12月期の第1四半期決算も海外事業の売上高が6割近く減ったことが影響し、全体の売上高は前年同期比7.2%減の70億円、営業利益は16.6%減の4億4000万円と減収減益を迫られた。一方で国内は本業のショーケース・倉庫事業が前年同期の実績を上回ったほか、近年注力しているメンテナンス事業が新規需要の掘り起こしに成功し、前年同期比9.6%増と伸ばした。

 飲食店をメインターゲットとする大和冷機工業の第1四半期は売上高が前年同期比0.4%減の87億円、営業利益が17.5%減の9億2000万円と、外食店に対する休業要請が大きく影響した。品目別では省エネ、省スペース、演出効果に優れたタテ型ショーケースで新規需要の獲得に取り組み、前年同期比100%をキープしたが、それ以外は前年同期を割り込んだ。

 緊急事態宣言は解除されたが、外出自粛要請が全国に広がった4月以降の影響はこれから出てくるため、各社とも今期末の業績予想は未定としている。