休校要請を受け、学校給食問屋は戸惑いと混乱

 新型コロナウイルスの被害を予防するため安倍総理が3月中の小中高校の休校を要請したが、休校すれば学校給食もこの間なくなることになり、学校給食用食材を納入する全国の業務用卸には戸惑いと混乱が生じている。

 「あまりに急な話」(北関東の業務用卸幹部)。2月27日夕方の総理のコメントに対し、28日(金曜日)午後の段階で「同じ県内でも自治体によって対応がバラバラ」と各地の業務用卸。市町村によって3月2日から休校、4日から休校など判断が異なる。給食物資の納入についてまだ正式な指示がない、というところもある。

ひな祭りなど行事食の食材が宙に浮く

 特に業務用卸が困っているのが3月3日のひな祭りや卒業祝いの行事食の扱い。「この時期の行事食はその日のためにメーカーに発注しているものであり、転用が効かない」。しかも2月下旬から3月初旬は新年度第1学期の入札時期。四国の業務用卸は「(28日の)今朝から、行事食を含め、年度内に納入予定だった商品の生産を中止するよう、急いでメーカーに連絡を入れた」と混乱ぶりを語る。

 使われることがなくなる行事食の取り扱いについては「県給に引き取りをお願いした」、「市町村とこれから協議する」とマチマチ。 
 仮に3月2日から終業式まで休校となれば地域によって差はあるが、16日間〜3週間の学校給食の売上げが消える。期末は学校側が給食の年間予算を使い切ろうとする時期でケーキ・デザートなど高額商品が例年だとよく売れるが、これも今回はなくなる。

 さらに、テレワークなどによりオフィスで働くサラリーマンの昼食需要減少や、各地で予定されていたイベントの中止も業務用卸の経営に影響する。外食需要も厳しい。ある業務用卸の幹部は「今年3月の売上げは例年の6割程度まで落ちるのでは」と懸念している。

休校開始は自治体によりバラつきも

 福島県の学校給食卸は「郡山市は3日から休校、須賀川市は9日から休校という具合に、自治体によってバラツキはあるが、23日まで軒並み学校給食はなくなる」と説明している。

 ひなまつりの行事食については「本来は3日実施だが、2日のうちに(ひなあられ等を)配ってしまう考えの納品先もあれば、4月以降に配るところもある」という。

 さらに「問題なのは、既に在庫している生鮮品を廃棄せざるをえないこと」と語り、「安倍総理の休校判断は間違っていないとしても、急に言われては困る。指示を早めに出して欲しかった」と語る。

 年度末の学校給食予算消化に関しては「3月は微調整の自治体が多い。2月に比較的高額な食材を購入して予算調整を行ってもらった」と説明している。