関心高まる新駆動スパイラル
スパンテック・ジャパン 代表取締役社長 四方 俊郎氏

 3次元の優れた衛生性を持つ搬送システムを手がけるスパンテック・ジャパンは、ドラムのない新駆動方式スパイラルを日本のユーザーに提案している。設立から間もないが「手応えは十分」という。技術説明と求めるユーザーが増えており、四方社長の忙しい日々が続いている。

四方社長

 ――コンベアやスパイラルなど搬送システムで世界中に多くの採用実績を持つスパンテック社(米国)の日本代理店として昨年7月立ち上がったばかり。
 四方 新システム「アウトランナー スパイラル」はドラムスラッドのない駆動でプラモジュールチェーン業界では世界初、米国では先行して発売を開始しており、導入が進んでいます。日本での本格化はこれからです。

 ――スパイラルシステムでドラムスラッドのないことのメリットは?
 四方 樹脂製ドラムスラッドがある場合、それがチェーンの内側を回転して摩擦駆動しているわけですが、このドラムスラッドがなければ、大変シンプルな構造となり、メンテナンスも簡単になります。ドラムスラッドは大きなシステムなのでメンテナンスに時間もコストもかかってしまいますが、それを解消できます。

 ――手入れしやすいシンプルなものが主流になっている。
 四方 モーター1台で駆動できるので、補助駆動は不要になり、省エネにつながります。ドラムスラッドを備えていれば最低でもモーターは2台必要となります。しかも、大容量が必要なので今の時代には不適合です。
 また、カウンターシャフトにより各段をスプロケットで駆動しており、摩擦駆動よりも信頼性が高くなります。歯車が回ることは動力が完全に伝わり、動力伝導ミスを低減できます。

 ――ユーザーは低コストや省エネに敏感になっている。
 四方 部品点数が少ないので低価格につながっています。昨年10月に開催された東京パックに出展したところ、多くの方に興味を持っていただきました。会社の設立から、わずか3カ月後の出展ということで、その準備期間はとてもハードな日々でしたが、出展して正解だったと思います。
 まず、搬送システムを手がける会社が日本に新たな誕生したことをアピールできましたし、何といっても多くの人と出会えたことは大きい。会場で工場再編を進めているメーカーの技術責任者と接触できたのは、幸先のよいスタートだったと思います。

 ――その技術者も目を引いたわけだ。
 四方 工場ラインには“搬送”が絶対に欠かせません。その不可欠なものを効率よく、しかもコスト削減という結果を出せるかがユーザーにとっては真剣そのもの。アウトランナースパイラルは速度の制御や重量の変化、傾斜角度の多様性が叶い、容易に調整でき用途が広がります。

“仲間”は全国に

 ――スパンテック製のコンベアシステムは、もともとは三鈴工機が販売していた。
 四方 1995年に三鈴工機が独占代理店となり日本に売り出しました。その頃、私は三鈴工機の社員として関東地区の販売の責任者でしたが、樹脂製モジュールコンベアが日本に本格的に入り出した頃と重なり、ユーザーからの手応えを充分に感じました。
 私の退職をきっかけに三鈴社内にスパンテック製を売る人間が減り、また、三鈴だけの営業力では、今後の日本やアジア市場を任せるには力不足と判断したのでしょう。さらなる拡販を目指して本社直属の法人を立ち上げ、私がその代表となったわけです。

 ――今まで培ってきた人脈が活きてくる。
 四方 三鈴にいた頃、エンドユーザーはもちろん、他のコンベアメーカーにも知人が多くいました。その彼らが、いざ私が“スパンテック・ジャパン”を立ち上げた際、いろいろと力を貸してくれています。大手コンベアメーカーのカタログに自社製品とともに、“スパンテック製”も掲載しています。それが重要な販路の1つとなっています。同じような立場である、私のようなサラリーマンだった者が開業したということで、応援してくれるのでしょう。その甲斐あって、設立から1年足らずですが、想定していた以上に裾野が広がっています。

 ――今後の展望は?
 四方 アメリカ本国のスパンテック社も、この人脈の広さを高く評価してくれています。本国にとっても、想定以上の効果だったのかもしれません。“スパンテック・ジャパン”が日本での信頼できる出先となっていると判断しています。
 強みである3次元搬送とサニテーション性を日本のユーザーに売り込むのはこれからが本番。社員はまだわずかですが、これから増えていくことでしょう。若い人材だけでなく、コンベアメーカーを長年務め、この業界を熟知した退職者など、全国に仲間はたくさんいます。彼らとともに良質の製品を提供していきたいと考えています。

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2011年12月7日号掲載