厨房の省力化に向け人とロボットが協働作業
ロイヤルＨＤ、食器洗浄工程で実証実験を開始
ロボットが食器をピッキングする様子
ロイヤルホールディングスは食器洗浄工程でロボット化を進めるため、実証実験を東京新宿の「シズラー新宿三井ビル店」で６月27日から開始した。ロボットシステムと超小型高圧食器洗浄機を導入し、まずは人とロボットの協働作業を試みる。
実証実験は１年間を予定しており、計画ごとに３段階に分けて行う。最終的には食器洗浄工程の完全無人化をめざす。
従来の食器洗浄工程は食器をシンクに浸したり、食べ残しの野菜を洗浄前に流したり、食器を洗浄機へ出し入れたりと全９工程を手作業で行っていた。今回は人が�／�器をバスボックスから取り出し、�⇔∧屬靴疹�態で洗浄機のコンベアに置くと、��洗い終わった食器をロボットが持ち上げ、�ぢ腓�さや厚み、柄などを識別して種類ごとに食器棚に収納する。４工程まで削減可能になる。
検証ポイントは稼働時間や稼働人員、水道光熱費の増減などの「効率面」と、簡素化や働きやすさ、食器の洗い上がり状態などの「効果面」の２項目。「生産性が向上しているかどうかを検証する」（同社）という。
立命館大学発ベンチャーと共同プロジェクト
ロボット（左）と超小型高圧食器洗浄機
ロボットシステムを開発したのは立命館大学の技術シーズをもとに今年３月に起業したチトセロボティクス（東京都台東区）。ロボットの新たな運動制御理論に基づいてロボットのキャリブレーション（位置修正）やティーチングを必要とせず、0.1mm単位の高精度な位置姿勢制御を実現した。カメラでロボットの動きを制御し食器の種類を認識させることで、食器のピッキングとスタッキングを任せることができる。
食器洗浄機はＫｙｏＤｏ（東京都大田区）が開発した。高圧コンベア式洗浄機をコンパクト化しながらも噴射圧による洗浄能力の高さを維持。食器の浸け置きや前洗浄の必要がないため洗浄工程数の削減に貢献した。
今回の取組みはロイヤルグループが立命館大学と2016年から飲食業のロボット化について検討を進める中で、「食器洗浄工程」に特化する方向性を打ち出したことが背景にあり、チトセロボティクスと共に立ち上げた「チトセプロジェクト」という位置づけにある。
同グループはすでにキャッシュレスや新調理機器、自動搬送機器などを導入した新店舗をオープンしている。効率化と省力化を進めて接客業務に集中できる環境整備を図り、ホスピタリティの向上につなげるねらいがある。今期から始まる第５次中計では総額226億円を投じて生産性の向上に積極的に取り組む。