東京冷蔵倉庫協会の吉川光太郎会長は年末会見を27日行い、都内の冷蔵倉庫の現状と将来について語った。
会見する吉川会長
吉川会長は「日本全体の人口は減少傾向にあるが、東京の人口は変わらず、結果として都内への集中度が増している。人口と冷蔵倉庫は相関関係にある」と都内の冷蔵倉庫の役割の重要性を強調。特に東日本大震災のような災害時にあっては「常温品の備蓄は可能だが、それだけでは需要に対応できない。電気が止まれば冷蔵倉庫は機能できない。(有事における)対応について行政と荷主、冷蔵倉庫業者がどう見据えていくが問われる」と指摘した。
また、東京の冷蔵倉庫が抱える問題として「設備の経年化」を挙げ、「建設コストが著しく上がっており、中小企業では簡単に建て替えができる状況にない」と補助金の必要性を指摘。「設備更新時の事業継続のためには“ビルド&スクラップ”にする必要があるが、東京団地冷蔵も現有地での建て替えを余儀なくされるなど、種地を含めた都内の土地不足が深刻。昨年から今年にかけ、東京都港湾局、国土交通省関東運輸局、東京都大田区のトップと意見交換しつつ、問題の共有化に努めている」と説明した。
このほか、電気料金の値上げに対する対応や、自然冷媒への転換など、エネルギーや環境問題への対応についても現状を説明した。
冷凍倉庫業界の潮流として、大手企業への集中や、労働力不足(ドライバー不足や就労者の高齢化)、食生活の変化に伴う流通形態の対応化などを指摘した。
ドライバー不足については「ドライバーが冷蔵倉庫を選ぶ時代。待機時間の短縮に向けて作業の合理化をさらに進めなくてはならない」と強調した。