コープデリ生活協同組合連合会(旧コープネット)の小山冷凍集品センター(栃木県小山市)は昨年8月の稼働開始から1年あまりが経過した。冷凍食品を配送先別に仕分けるシステムを自動化したことで取り扱いアイテムが約2倍に増えたほか、ラインを自動化して生産性、作業品質の向上につなげた。新しいシステムにも慣れ、従業員の習熟度も日々高まっているという。
外観。右手の建物が冷凍集品センター
もともと栃木、茨城、群馬エリアの配送を統合する目的で約30年前、同所に物流センターを設け、冷蔵、冷凍、グロサリー、青果を扱う総合センターとして機能していた。その後、配送拠点の分散・再編により、2008年からは冷蔵、冷凍品のみを扱っていた。新たに稼働した冷凍集品センターは、これまで倉庫として使用していた別棟を改装。これにより、現在は冷蔵(青果兼用)と冷凍の専用施設がそれぞれ独立する形で機能し、合わせて「小山物流センター」と称している。
商品を個人の注文単位で容器に仕分ける「集品ライン」では、1本当たり13名の作業員を配置している。隣の冷蔵集品センターの1本当たり20名に比べて7名少ない。作業者1人が担当するフローラックの横幅が2700mmと、一般的なラックよりも400〜500mm長いため、その分、人員を抑えることができた。1人分のラックに36品まで登録できるが、普段は27品程度を1人で処理している。
集品ラインでは、写真左のフローラック
から商品をピックアップし、右の白い
ウェイトチェッカーの上に置く。ベルト
でスライドさせ、中央を流れる緑色の
集品箱に自動投入される
集品ラインは6本設置することができるが、現在は5本を稼働している。そのうち4本を栃木、群馬、茨城の組合員向けに8時間稼働させ、残り1本を東京、新潟向けに午前中だけ動かしている。
コープデリが物流センターに初めて導入した「ウェイトチェッカーシステム」は、仕分けミスや誤配送を未然に防止するシステム。集品ラインにいる作業者は、点灯した棚の商品を指示通りの数量ピックアップし、対面にある所定の白いベルトの上に置くだけでいい。あらかじめ商品の重量を計ってマスター登録しているため、誤った商品を白いベルトの上に置くと、重量の違いからミスを判断し、ラインが停止する。
さらに5オーダー分、先行してベルト上に商品を待機させておくことができるため、生産性の向上につながる。
作業者がピッキングした商品はベルトに乗ってスライドし、RFIDタグを装着した緑色の集品箱に自動投入される。1つの集品箱には同じ組合員が注文した商品のみが投入される仕組みになっている。
カウントダウン表示器に「7」と表示されている
ので、あと7袋の商品を「セットボックス
(保冷箱)」に詰め込む
集品ラインの背後には補充庫があり、注文頻度の高さ(高頻度商品・中頻度商品・低頻度商品)に合わせて搬入エリアを分けている。取り扱いアイテム数は、従来の冷凍集品センターと比較して、トータルで約2倍に増やした。
原料冷凍庫から補充庫まではこれまで作業者がカートで搬送していたが、コンベヤによる自動搬送に切り替えて省人化と同時に品質管理レベルの向上を図った。
自働積み付け機でセットボックスを4段に
積み上げ、出荷を待つ
仕分けを終えた商品は画像を30日間保管し、異物混入や集品ミスの問合せに対する確認に役立てる。事務室ではリアルタイムで映像を見ることができる。
仕分け終えた商品は「セットボックス」と呼ぶ保冷ボックスに配送先別に複数個まとめて詰め替える。この時、作業者は「カウントダウン表示器」に表示される数字を確認しながら、あと何個セットボックスに投入すればよいかが分かるようになっている。
セットボックスは自動積み付け機で4段の高さまで積み上げ、茨城13、群馬8、栃木7の計28カ所の配送センターに出荷する。
松本和久センター長は「稼働当初はシステムの使い方に戸惑うこともあったが、今では1オーダー当たり、2秒を切るスピードで処理できるようになった。ただし、このシステムの能力を引き出す余地はまだある」と語っている。