石原社長
石原水産の石原直社長は、昨年1月の社長就任から、1年を振り返っての感想と今年のカツオたたき製品の販売について語った。
「昨年は急激な魚価高があり、たたき製品の販売価格への対応に苦労した厳しい1年ではあったが、社員が一丸となって取り組む体制は整ったと自負している。今年については、たたき製品の価値訴求に対し、引き続き価格対応が厳しい消費市場ではあるが、より収益安定性を重視した販売への取り組みを考える。そのためには、当社の強みであるオリジナリティのある商品開発、企画に力をいれ、春夏秋冬の季節感に合わせた商品を取り揃えていきたい」とした。
石原社長は同社の状況にふれ、次の様に語っている。
「近年、売上高は減収傾向にあるが、ここ数年間の各事業の見直しを図る過程で、中でも相場や在庫リスクの大きい鮪類の扱いを圧縮したことによるもの。また、刺身商品の販売においても、近年の情勢を踏まえ、量の拡大路線から、収益重視へ移行させることで、全社的なリスク極小化とともに事業規模の基盤安定を図ったことが、数字に表れている。これにより、過剰傾向にあった在庫水準も、過去水準の半分以下に圧縮を図ることができ、在庫効率化は、更に推進するものである。
一方、事業規模の変化に沿って、組織機能の見直しに取り組んできており、収益に影響をきたさぬよう変化対応のスピード化に努めた。例えば、在庫圧縮に沿った冷蔵庫賃借の変動費化や、拠点物流センターの統廃合など、付帯費用削減や流通効率によるコスト軽減は相当の成果につながっている。
また、工場部門では、各製造ラインに重複している原料一次加工は、統合させることで効率化を図るが、地元焼津工場は刺身商品中心の製造、隣接町の吉田工場はオリジナル加工製品の製造拠点として、今後も技術、効率ともに向上させていきたい。
このような、変革に対し、一部、外部の目や耳には、異なった情報として捉えられがちであるが、引き続き変化対応に柔軟な経営に取り組み、収益性向上につなげたいと考える」。
今年の取組みとしては「やはり、カツオたたきの販売を主軸に、多岐にわたる事業展開を図っていく。今期のカツオ原料事情は、多少、不安定な面も見受けられるが、昨年のような影響はなく、お客様への対応も前向きな取り組みが期待できる。
既にカツオたたきの最盛期に突入しており、黒潮造りはもとより、オリジナリティを強めた新商品と提案型営業の強化で勢いづけていく。また、今年は、海外での取り引きを本格的に軌道に乗せる年とし、付加価値事業の活性化につなげていく方針でいる」と語った。