テーマは“省人化”、目玉はロボット充填、生肉をハンドリング

 中村産業は省人化をテーマに4種の充填機を出展する。目玉の一つはABB社製によるロボット充填。マレル社のポーションカッター「I-cut300」で定量カットした生肉を、ロボットハンドで容器に充填し、シールパック社の深絞り機の包装工程でパックするという一連の流れを披露する。

生肉など包装前の食材をハンドリングする

 「当社はいち早く、15年ほど前からロボットによる食品工場の省人化を提案してきた。近年、ロボット専業メーカーも参入し、食品工場のロボット化が盛んになっている。包装など前後工程も得意とする当社だからこそできる提案を、今年のFOOMAで改めて披露したい」と中村剛太郎社長は説明する。
 食品工場でのロボット活用は包装後や箱詰めされた製品のピッキングが多いが、同社の提案は生肉など包装前の食材をハンドリングする。精度と衛生度がより問われるが、食品工場で長く実績を積んできている。この工程で連動する「I-cut300」は牛・豚・鶏肉すべてに対応する生肉定量ポーションカッターで、少ないスタッフで高速に処理し、歩留まり精度も高める人気機種。省人化に一役買っている。
 オーストリア・レックス社の真空定量充填機は2015年モデルを出展。分割式のホッパーを採用して作業性が向上した。インフィードシステムを強化したため耐久性が増し、ポーション精度も高めた。この改良により製品にダメージを与えない搬送、ソーセージ内のエアポケット内の最小限化を実現した。レックス社はソーセージの真空定量充填機として活用されることが多いが、用途はこれだけではない。FOOMAでは、パテ用ユニットと連結させて、ハンバーガパテを想定した実演を行なう。「ネギトロの充填にも活用できる」と中村社長は笑みを浮かべる。
 このほか、パスタやサラダなどを充填するボリューム計量式、またスープ料理やヨーグルトなどの液体用充填機(ともにドイツ・レオンハード社)を出展する。

蓋にもなる密閉容器、保存性兼ね備える

 シールパック社のトレーシーラーの活用事例として、密封容器でありながら、開封後に蓋としても利用できる容器(イージーリッド)を実演して紹介する。「このイージーリッドは昨年日本のユーザーに紹介し、多くの注目を浴びた。その存在が徐々に浸透してきている。今回の展示を契機に、このパッケージの可能性をさらに広げたい」と意気込む。
 シールしたフィルムに蓋の機能を持たせるため包装コストを削減できる。キムチなどの汁物でも、店で購入後、家に持ち帰るまでは密閉されているのでニオイの面でも安心。蓋は再密閉が可能なので、食べきれなかった場合には、そのまま蓋をして冷蔵庫に保存しておける。1回のシール工程で、蓋の内側をはがしやすいイージーピールとし、蓋の外側を完全にシールする。

シールパック社のオートマチックトレーシーラー「Aシリーズ」

包装から未来に向けた“食卓”へ

トレーのまま食卓に出せる容器包装を提案する

 トレーシーラーは新しい包装形態を次々と開発できる柔軟な能力が魅力といえる。今回のFOOMAでは、トレイを皿に見立て、“食卓”に出せる包装を提案する。トレイの上のシールをはがすだけで、そのまま食卓に出せるようにした。容器はオーブンや電子レンジにも対応、皿への移し替えという家庭での手間を削減することで簡便性が高い商品となる。そのトレイを破棄しないで再度有効活用できるよう、トレイのデザイン性にも考慮している。
 展示は従来のスーパーでのイメージを超え、一歩先を見据えた試みとして、生活に密接した空間を想定し、包装された製品をテーブルに置き、そのまま食べることができるシーンを演出する。
 「当社が提案する包装スタイルがエンドユーザーにはこのように提供できる、ということをFOOMAに来ていただくユーザーに見ていただきたい。ユーザーも何かがひらめくはず。ユーザーが求める製品とうまくコラボレーションすることで、さらなる創造的なきっかけを生み出すことができれば」と期待を寄せている。