主食領域、お好み焼き、たこ焼きを重点に
圧倒的No.1めざし、施策打つ
テーブルマーク 代表取締役社長 香川雅司 氏（上）
香川社長
１月１日付でテーブルマークの専務執行役員から現職の代表取締役社長に就いた香川雅司氏。技術畑出身で、これまで顧客との接点は少なかったというが、今は予定が次々に埋まり顧客と会う時間が増している。そんな多忙な中、収益性向上に向けた取り組みや市場の傾向などを聞いた。
――現職に就き約３カ月が経過、会社や自身はどう変化した。
香川 意識改善プロセスの良い部分は残しつつも、さらにスピードを上げる必要があります。私自身のスケジュールは会社の要望に合わせ30分刻みで予定が埋まっていき、お客様と会う時間は確実に増えました。私は30代後半から40代にかけて中国に駐在していたこともあり、顧客対応が少なかった時もあります。私は「技術屋」であったため、営業のお客様との接点は少なかった。ただし技術と中国は語れますので、お客様にとっても毛色の違う私を面白く思っていただけたようです。逆に私が教えてもらう事も多く、これらが変化と言えば変化だと思います。
――年初に、収益性向上に向けた取り組みを推進するため�＾掬歸��癸韻鬚瓩兇靴謄好董璽廛襦兵膺�領域）、�⇔篥爐�好み焼、�Ｎ篥爐燭馨討肪輓呂垢觜佑┐鮗┐靴拭�
香川 分かりやすく３点に絞って方針を示しました。ステープルのひとつ「うどん」は昨年の値上げ以降、若干回転が落ちていますが、今年もテレビＣＭを投入して需要を盛り上げていきます。３食タイプは、縦にも横にも置けるマルチパッケージを開発して売場に合わせて陳列やすい仕掛けを実践しています。新商品の「讃岐麺一番肉ぶっかけうどん大盛り」は、即食性・簡便性が高いトレー入り、甘辛く、１食300ｇの大盛り。商談会でも好評で、当初予想の300％の配荷を記録しています。
讃岐麺一番肉ぶっかけうどん大盛り
――お好み焼、たこ焼も絶好調なようだ。
香川 今年発売20周年を迎える“ごっつ旨い”シリーズをさらに育てるため、４月から消費者キャンペーンを展開する他、プロモーション動画を制作し期間限定でネット配信します。昨年記念日認定された５月２日の『ごっつの日』を中心に、しっかりと“ごっつ旨いシリーズ”を買い場で販促します。ただ今年は10連休の中日となり、物流問題が起こり得ます。在庫問題を含めて流通サイドと対策を練っています。
――冷凍パンは業務用で活発だが、家庭用は一休み状態？
香川 家庭用の冷凍パンは一時的に撤退状態ですが、諦めた訳ではありません。スーパーやＣＶＳで売られている袋パンの即食性が高く冷凍パンよりも消費者にとって利便性が高いものの、当社グループが持つ発酵技術は誰もが扱えるものではない。家庭用冷凍パンの先駆者として、戦略を見直し再挑戦をめざします。
――常温のパックごはんは非常食以外の需要を喚起しようとしている。
香川 パックごはん事業は、今から23年前に「炊飯器が不要な事業に育てよう」という意気込みでスタートしました。人口減少でごはんを食べる人が減り、いまでは炊飯器メーカー各社が小型化、高級化に取り組んでいます。日本のパックごはん市場は７億食と言われ、当社は市場の四割、約３億食を売っています。それでも冷凍うどんの十分の一程度の市場に過ぎません。冷凍うどんの論理で言えば、パックごはんは50億食まで拡大する余地があるということです。
パックごはんのオケージョン（機会）は増えるので、さらなる拡大は可能です。松竹梅に例えると、松は「分割タイプ」、竹は「舟形タイプ」、梅は「コンパクトタイプ」。一番売れているのが竹で、10食パックの人気が高い。当社は昨年７号ラインが稼働しましたが、すでにフル稼働状態です。飲料水やパックごはんは重量がある商品なので、ディスカウントストアだけでなくネット販売でも売れています。こうしたオンライン販売は、今年もさらに伸びていくと思います。
（次号につづく）
（かがわ・まさし）1987年大阪大学卒後、旭化成工業（現旭化成）入社。2000年ＪＴに転籍、02年中国の威海佳康食品総経理。08年テーブルマーク中国統括部長。13年執行役員、14年常務、15年専務、19年１月現職に。1964年６月、香川出身。