高速カメラを使った物体認識技術の動画
(同社HPから)
NECは生産ラインの検品作業を高速カメラで効率化する物体認識技術を東京大学大学院の研究グループとこのほど共同開発した。
製品の傷や刻印などの画像を瞬時に選別するため、これまで抜き取り検査しかできなかった製品の全品検査が可能になる。生産ラインを高速で移動するビンや缶のラベル検査、食品の異物検知などに活用できる。
新技術は高速カメラで撮影した毎秒1000フレームの大量の画像から認識に適した画像をAIが瞬時に選別し、検査の合否を高精度で判別する。
これまで高速で動く生産ラインで画像解析を行う場合は、撮影のためにラインの一時停止やスピード調整を行う必要があった。一方、高速カメラを使うと処理すべき画像数が10倍以上に増えるため、画像処理に大幅な時間がかかり、リアルタイム検査が難しかった。
そこでNECと東京大学は高速カメラの追跡処理で計算される物体の移動量と画像の鮮明さ(輝度)との相関関係に着目し、移動量や輝度値から画像の判断基準である適合度を設定した。この適合度を活用して、AIがそれぞれの画像が認識に有効か否かを瞬時に判定・選別する。
また、見え方の異なる複数枚の画像を取得し、それぞれの画像に対してニューラルネットワーク(神経回路網)と呼ばれるAI技術を使って認識処理を繰り返し、認識結果を突き合わせて最も多い結果を正解とする多数決方式を採用した。これによって従来のように1枚の画像で認識する場合に比べ、処理時間を約4割短縮し0.01秒程度の高速処理を実現した。
カメラの前を0.03秒で移動する物体で検証したところ、刻印された5mm程度の微細な文字の違いを95%以上の精度でリアルタイムで判別できることを確認した。
今回の共同開発はNECの画像認識技術と東京大学の高速移動体の追跡技術を融合した。
高速カメラ物体認識技術の概要