食品工場の自動化・省人化をテーマにした「フードテックジャパン」がこのほど千葉の幕張メッセで開催され、AIやロボット、連続作業の自動化システムなど注目の先進技術が集まった。
半導体材料や高機能素材の研究開発などを行うスタートアップの㈱応用技術研究院(横浜市、郭若峰CEO)は中国深セン発のフードテックベンチャー、BOTINKIT社が開発した「停まらないMAX調理ロボット」を日本で初披露した。
鍋の温度から回転速度、角度、方向、調味料の投入量、投入のタイミングまで各工程のパラメーターを一度設定すれば、それらをすべて記録保管して、完全に再現するデジタル調理システムを搭載した。
鍋には独自の加熱システムを採用し、食材の加熱状況を常に把握して焦げや加熱不足を防ぐ。鍋の温度は300℃まで昇温するため、食材表面の水分を沸騰、蒸発させることで食材を均一に加熱することができる。
BOTINKIT社が開発した「停まらないMAX調理ロボット」
調味料や油をプログラムに合わせて自動で投入しながら加熱調理するため、食材を入れるだけで誰でも同じ品質の料理が作れる。調味料と油は合計14種類に対応し、投入量は0.1mg刻みで調整する。
調理は炒め、煮込み、揚げ、煮詰め、和え、煮しめ、あんかけなど幅広く対応する。炒めの容量は最大6kgで、1時間あたり150人分を調理できる。
IoT機能も搭載しており、モバイル端末と調理ロボを接続させて、調理ロボの稼働状況から店舗の売上げや料理の注文率、原材料の消耗量などを把握することが可能になる。
中国では100社以上の飲食チェーンに導入されている。中国の飲食店は大量調理の本場であり、採用実績の多さは調理ロボの性能が高いことを示している。同社の担当者は日本の自動調理機に比べてコスト競争力は高いとし、国内での販売にも自信を見せる。