主力商品に集中、大量生産、数量右肩上がり
日水の八王子総合工場、首都圏立地、水に恵まれる
日本水産の基幹生産拠点である八王子総合工場（東京都八王子市、吉岡正弘総合工場長）は同社の主力商品を手掛け、少品種大量生産型の対応を行っているが「取り扱っている全カテゴリーとも生産量は右肩上がりに伸びている」（吉岡氏）という。
大消費地の首都圏に立地する大型拠点であるばかりでなく、水の利、地の利と、製造だけでなく配送・受注機能を併せ持つ総合工場としての位置づけも備えており、ニッスイグループになくてはならない存在感を示している。製造品目も常温、チルド惣菜、冷凍食品まで幅広い。
吉岡工場長
八王子工場が竣工したのは51年前の1962年（昭和37年）。当時は周囲に空き地が広がるのどかな地帯だったが、半世紀を越えて、いまでは住宅地のど真ん中というロケーションに変わった。「住宅地の中にある都市型工場という環境に対して、非常に配慮し」（吉岡氏）、防音、防臭対策は万全。クーリングタワーの水流で深夜近所の家庭に迷惑をかけないように、防音壁を設けているほど。
様々な取り組みを通じ、地域と共存する工場として地元からも評価されており、災害時を想定した地域防災協定を結んでいる。地元の祭りでは同工場の若手が神輿の担ぎ手として必ず参加。地元小中学校は社会科見学で工場を訪れる――という相互信頼を築いている。
工場の敷地は６万9263�屐複暇�1000坪）と国内の食品工場としては超大型。東京ドームの１．５倍の広さがある。
生産しているのは魚肉ソーセージ、ちくわなど水産練り製品、冷凍食品ではヒット商品「大きな大きな焼きおにぎり」がある。ほかに調味料工場、すり身を使った「シーグレイス」工場を敷地内に持つ。ソーセージは両端の金具を環境に優しい「エコクリップ」に切り換えて以来「2000年度比で1.5倍」。冷凍食品は2002年から米飯に集約した効果で伸びが順調。明太子ソースなどを手掛ける調味料も２ケタ増と勢いがある。
年間生産量は魚肉ソーセージ１万5000ｔ、練り製品と冷凍米飯がそれぞれ１万ｔ強、その他を合わせて４万ｔと、加工食品工場としては圧倒的なスケールを誇る。
同じ八王子市に完成した東京イノベーションセンター（ＴＩＣ）が出来る前は中央研究所も同工場内にあったため「生産だけでなく、研究開発と製造部門が連動して取り組めたことが、様々な大型商品を生みだすことになった」と吉岡総合工場長は語っている。