09年、食品会社の設備投資相次ぐ
食品会社の設備投資が活発な動きを見せている。経済環境の悪化で物流事業者など周辺の業者が厳しい事業展開を強いられているが、食品会社は生産から流通を確実なものにし、安全・安心な高品質の商品を消費者に提供するため積極的な投資姿勢を共通して示している。
ニチレイは冷蔵倉庫・物流センターの設備投資を積極化する考えを示している。建設コストが当初見込んだよりも下がっているため。当初計画していた大阪北港、川崎東扇島の建設に加え、福岡朱雀物流センターの老朽化対策として福岡東浜に物流センターの新設を決めた。また、時期待ちとしていた横浜山下の物流センターの２期工事の着工も決めた。一連の工事が終われば、予定していた主力物流拠点のスクラップ＆ビルドはひと段落すると説明している。
日清フーズはタイの子会社、タイ日清テクノミックで業務用プレミックスの生産能力の増強を進めている。投資額４億3000万円。３階建ての製造棟と700�屬慮粁疏匕砲鮨契澆掘�10年夏の稼働を予定している。日清製粉グループが推進する「環太平洋エリアにおける海外戦略の一環」。
ＪＴは東京羽田の食品開発センターの隣接地に検査センターを建設し10月から稼働する。茨城県境町の検査センターの機能を新センターに集約し、研究開発と品質管理を連動する。去年９月に中国青島に建設し稼働したグループ会社加ト吉の品質管理センターに続くもの。食の安全安心対策を徹底するため、検査センター建設、各種検査機器も含め、合わせて26億8000万円を投資する。
明治乳業は流動食専門工場「群馬栄養食工場」を昨年10月に竣工した。流動食事業はチーズ事業と並ぶ今後の成長領域と位置づけ、経営資源を積極的に投入すると説明している。総工費85億円、最新設備を導入した。
ヤマザキは神戸市西区に冷凍生地の生産設備を新設する。品質向上を徹底するもので、投資予定額は３億0800万円、今月の完了を予定している。08年通期の設備投資額は297億1000万円。
日水物流は大阪南港に第三セクター方式による新設工事（２万1000ｔ）を行っており、８月の完成を計画している。設計監理はニッスイエンジニアリング。投資額は35億円。
味の素の今期の設備投資額は750億円を見込んでいる。中間期では318億円（前年同期比5.7％増）。国内食品が101億円（3.0％増）、海外食品が26億円（10.3％減）、アミノ酸が157億円（20.7％増）、医薬が10億円（56.5％減）、その他の設備投資が６億円（33.3％減）。
キッコーマンは野田工場の醤油詰め設備の増強工事を２月に着手、11年11月に完了を予定している。投資予定額は85億円。グループ会社の日本デルモンテでは、長野工場でＣＯ2排出量の少ないガスボイラーの導入にともない、従来使用していたエネルギー効率に優れた小型貫流ボイラーを08年３月に群馬工場へ移設した。これにより、ＣＯ2排出量を26ｔ-ＣＯ2/月削減した実績を持つ。
ハウスは物流サービス、物流拠点の統合と新設、レトルト食品の低温設備の改修工事を進めている。09年３月期通期の設備投資額は121億円を予定。今後「10年後の目指す企業像」として低温事業・通販事業・生ハーブ事業などの新規事業に優先的に重点投下する。
マルハニチログループのアクリフーズは時期や投資額など詳細は未定だが、09年中に群馬工場のライン更新を検討している。08年に夕張工場のグラタンやフライラインを更新しているが、群馬工場に設備投資することにより、長期的にみて稼働ラインの平準化を図るのがねらい。
写真は加ト吉が既存の「青島亜是加食品」（右）に隣接して完成した品管センター