ケーシング不要の独自技術で水産学技術賞

 日本水産は、社員が開発した水産加工技術が(公社)日本水産学会の「令和2年度水産学技術賞」を受賞し、「令和3年度日本水産学会春季大会」(オンラインで3月26〜29日開催)で3月29日講演した。受賞者は商品開発部加工食品開発課の吉富文司氏。

 魚肉ソーセージを、ケーシングを使わず連続的に製造する技術で受賞した。製造ラインは2011年に導入し、業務用冷食の「おさかなソー」や家庭用冷食の「ほしいぶんだけアメリカンドッグ」も同技術で製造した魚肉ソーセージを使っている。

 通常、魚練り製品はペースト化したすり身を内装フィルムなどの成型包材に充てんするなどして成型した後、ボイルなどの外部加熱を行って製造する。

 一方、受賞技術は垂直に立てたチューブの中を原料が上方に送られる過程でマイクロ波により内部加熱することで成型包材が不要で連続的な練り製品の生産を可能にした。

 工程の簡素化や生産リードタイムの短縮化が実現するとともに内装フィルムを排除できるなど利点が多い。畜肉原料にも対応が可能で、従来にはない製品開発も期待できる。国内外で11件の特許を登録しており、現在も数件を出願中。

 この技術は2016年にも「平成28年度(第28回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰」の農林水産大臣賞を受賞している。

     ケーシング不要の独自技術で生産する「ほしいぶんだけアメリカンドッグ」