改良に次ぐ改良で日々進化
アクリフーズ 群馬工場（１）
アクリフーズの群馬工場は冷凍グラタン、ピザ、コロッケ、ホットケーキなど年間約１万6000ｔを生産する主力工場。同社の前身、雪印乳業の群馬冷凍食品工場として1974年10月に生産を開始し、40年弱の歴史を持つ。訪問したのは、昨年12月初旬の「猫の手も借りたい」（木下好夫工場長）というほどの超繁忙期で、連日フル生産体制で臨んでいた。
木下工場長
群馬工場は群馬県邑楽郡大泉町の大利根工業団地内に立地する。工場の近くには日本で２番目に長い利根川が流れる。ＪＲ高崎線熊谷駅から車で約40分、東武線館林駅から車で約30分の距離。敷地は２万5267�屐�7657坪）、建物延床は１万2723�屐�3855坪）。パートや嘱託の準社員をメインに約280名が働く。
1974年に雪印乳業の群馬冷凍食品工場として焼売やハンバーグ、コロッケ、ピザの生産からスタート。1979年にホットケーキラインを新設。2001年10月雪印乳業から分社し、雪印冷凍食品の群馬工場となった。翌02年10月にアクリフーズの群馬工場、06年２月ニチロの100％連結子会社となり、現在はマルハニチロ食品の100％連結子会社としてグループの一翼を担う存在。
親会社が何度か変わったが、工場は毎年のように進化を遂げ、今はアクリフーズの直営工場として同社の３割強の生産ウエートを占める。もうひとつの直営工場は北海道の夕張工場で、ここが15％の生産比率。直営２工場で全生産量の約半分を担う。この他、日本では九州佐賀に協力工場、中国山東省にも現地合弁工場を保有する。
子供たちに人気の「ホットケーキ」ライン
群馬工場は全６ライン。グラタン、ピザ、コロッケなど79製品を生産する。製品倉庫は約５日間分を収容し、製造から48時間後の最終検査を経た後、北海道〜沖縄へと日本全国に発送される。隣接地にはビーンスターク・スノー（旧雪印乳業）の群馬工場（育児用粉乳や離乳食など生産）が建ち、ここで採水する地下水は調合水として相互利用している。
大利根工業団地には自動車部品や家電の工場が進出しているため「人口４万１千人の小さな町だが、昼間の人口は２倍以上」（木下工場長）になるという。働き口が多く、選べるため、同工場は「人集めに苦労する」という。日系ブラジル人が多く集まる地域でもあり、「毎年開催されるサンバフェスティバルではポルトガル語が飛び交っている」。
型抜きにしたピザ生地、多段式プルファーで40℃前後で約20分発酵させ、400℃近い高温で焼くため、もっちりとした食感に仕上がる
群馬工場が１年間に購買する原料は約35億円。「このうちチーズ、バター、生クリーム、生乳、粉乳など乳製品が22％を占める」（木下工場長）という。通常月は１日13時間、12月は年末年始の休暇が入るため14〜15時間実稼働している。
木下工場長は「工場の操業から38年を経過し老朽化している部分もあるが、品質アップの投資と合理化、省人化の投資は継続して行なっている」という。加えて、「従業員が快適に働ける環境整備も不可欠だ」として、「夏場の気温が40℃を超える土地柄なので、1700万円かけて屋根に遮熱塗装を施した結果、１〜２℃和らいだ」。
２種類のグラタン生産ライン
工場の従業員食堂にも特徴がある。食堂の厨房は従業員３名が従事。「メニューは手作りと冷凍食品の半々で賄っている」という。利用する冷凍食品は自社製品ばかりではなく、他社の製品も利用する。その一方でラーメンに乗せるチャーシューは従業員の手作り。食堂利用額の半分を会社（工場）負担としている。
従業員の意見を吸い上げる取り組みとして、ＨＨＫを毎月実施している。ひやり・はっと・きがかりの頭文字からのネーミング。全従業員は月に必ずひとつＨＨＫを提出して内容を検討し、改善に役立てている。
売れ筋商品のひとつ、クリームコロッケの生産ラインは、同工場最大の特徴を持っている。アイスキャンディーを製造する機械で、中身のクリームソースを凍結。熱々のクリームソースを充てんし、凍結までわずか20分。１時間当たり５万個の生産能力を持つ。（次号へ続く）
次々と生産されるクリームコロッケの成型ライン