野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −14−
新工場での工夫

 食肉を主原料にしたパン粉付け製品のラインが1ライン設置されていた。旧工場では成型機からの肉汁の漏れ、打ち粉機からの粉の舞い上がり、パン粉の落下で床は常に汚れ、それを水で洗い流すので床は濡れ、湿度も高く、環境は劣悪であった。
 従業員もあきらめ、これに慣れてしまっていた。新工場に移転してもそれはなかなか解決しなかった。パン粉はバケットのゲタコンで供給されていたが、老朽化してチェーンが緩み、ガイドに接触して削片が異物混入の原因となった。
 その対策がパン粉をエアーで搬送する装置の開発であった。パン粉をパン粉付け機に供給する時が落下の主たる原因でもあったが、エアー搬送方式はほとんど落下がなく、パン粉付け機のその他の落下箇所、成形機の肉汁漏れの箇所、打ち粉機の排気などの改良も加速度的に進んだ。フライヤー室で改善した「ガイドは高く、シュートは広く」が成果をあげた。
 こうして成形・パン粉付けのラインは床のドライ化が完成した。原料処理の部門も刺激を受けて処理肉の落下防止、ドライ化の工夫を実行し、原料歩留を向上する、という相乗効果をもたらした。
 ここまで来るのに時間がかかったが、技術部門の工作が新工場で各所に瑕疵が出て、時間を取られたのもその一因とみられる。ラインでの担当部門のアイデアは工作により実現する。