品川工業所とリキッドガスは飽和水蒸気を用いて食品の安全性と新鮮さを両立させる瞬間湿熱殺菌装置を開発した。九州大学と研究開発していたもので、野菜のシャキシャキ感、果物やナッツ類の風味を損なうことなく殺菌できる。
瞬間湿熱殺菌装置
水蒸気のみで殺菌するため薬品の臭いなどの残存の不安を解消した。食材の表面のみを短時間で加熱し殺菌するため、鮮度や食感、風味を損なわずに殺菌が可能、熱感受性食材に適用できる。
処理槽の上側開口部に水蒸気の放出を抑えるエアーカーテンを配置し、槽内に飽和水蒸気を充満させ、開口部からサンプルを投入して槽内を落下させる。サンプルと水蒸気を瞬時に接触させて加熱殺菌し、下側開口部から冷却して回収する。1秒以下という短時間で処理できる。
実証機
食材の殺菌方法は薬品処理と加熱処理の2種類がある。日本は薬品処理が主流となっているが、食材に薬品の残留をなくすため、処理する際は大量の水を必要とする。一方、EUでは化学薬品の使用が認められていないところもあり、加熱処理が主流となっているが、食材によっては繊維質、食感、色味といった新鮮さが損なわれてしまう。
瞬間湿熱殺菌法は食材の表面のみを1秒以下の短時間で加熱するため、従来の加熱処理で損なわれていた新鮮さを失うことなく、脱薬品で安全性に配慮している。
実証機で野菜やナッツ類を処理したところ、大腸菌は陰性、一般生菌は処理前に比べて2〜3桁減少する殺菌効果を確認した。