【年頭所感】
業界の人材育成は次世代対応の基礎になる
日本厨房工業会 谷口一郎会長

    谷口会長

 昨年を振り返ると、依然猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、わが国においては10月以降感染者数、重症者数が激減しているものの、経済活動の回復と欧州や東南アジアでの再拡大の余波により世界的な部品供給の逼迫や原材料の高騰を招き、経済全般、業務用厨房の業界にも大きな影響を及ぼしている。

 当工業会が扱う「厨房」は、人に欠くことのできない食を作るだけでなく、人・モノ・エネルギーの流れが集中し、また食文化の発展を担う発信の拠点でもある、重要な場所である。持ち帰りやデリバリー業態への拡大、転換をはじめ、新型コロナウイルス感染症による経済活動の激変は当工業会の目的である、安全・衛生の確保、環境の保全の重要性を改めて認識する機会になった。

 業界を支える人材の育成と広報活動は、エネルギー消費の最適化、経済活動再開における人材不足、進行する生産年齢人口の減少に対応してユーザーの運営を改善し、DX・自動化・AI利用の進展など、加速する次世代への対応の基礎となる。業界の発展に寄与するために、引き続き厨房設備士の資格認定制度、厨房設備機器展の開催、月刊『厨房』の刊行、当工業会基準に適合した業務用厨房機器の登録制度の推進を中心に取り組んでいく。

 前回第21回厨房設備機器展は、昨年2月に2年ぶりに東京ビッグサイトで緊急事態宣言下に開催することができ、来場者は前年比60%であったものの、目的意識の高い来場者によって商談に進む率が高まった。

 当工業会は事業課題の解決に寄与できるよう、主要事業を推進し、関連するセミナーの開催、HACCPおよび省力化・非接触化につながるIoT化の情報提供、生活や産業に大きな影響を及ぼす自然災害への対応検討などを行っていく。

 業務用厨房は料理人・食材と共に食を支えている柱であり、今後も会員各社に資するよう活動を行い、豊かな食文化の発展と業界の繁栄に貢献していく。