(2)納入業者の指導の基本的考え方
原材料納入業者に対して指導を行うにあたり、次の4点を基本事項として認識しておく必要があります。
①必要に応じた指導頻度を設定する
管理レベルのランクにより現地調査と指導を実施しますが、必要に応じた適切な頻度を設定し、定期的に実施することとします。重大な細菌汚染や異物混入などの事故が発生した場合の緊急の調査指導とは区分して考えます。要するに、「何か起きたから指導する」ではいけないということです。
②一定期間は同じ指導者とする
改善の進捗状況を時系列的に把握するため、指導者はできるだけ一定期間、同一の指導者とします。散見されるケースでは、ローテーションで指導に当たらせた結果、行くたびに指導者が変わってしまい、指導方法の一貫性に問題を有するケースがあります。
③該当原材料に関する知識とスキルを有した指導者をあてる
指導にあたるものは、該当原材料に関する知識と調査指導が十分に行なえるスキルを有することが必要です。勉強のためと称して、スキルのない若手を単独で出向かせるケースを見かけることがありますが、確かに勉強にはなるものの、目的とする原料業者の管理レベルの向上には成果を出すことができません。また、指導を受ける側に対してもメーカー(使用者)側の姿勢を疑問視されることになります。
④経営者も巻き込んだ改善指導が必要
中小規模の原料業者では、オーナー会社の場合が多くなります。このため、工場長などと言っても経営資源の配賦に関する権限を持っていなく、改善を指摘した事項について速やかな実施ができないことが多く見受けられます。このようなケースでは、必ず経営者に直接改善を必要とする事項を伝え、経営者としてのコミットを求める必要があります。
さすがに社会環境が変わり、現場の管理は工場長に丸投げして平日ゴルフに興じている経営者は少なくなりましたが、万一このような経営者が存在する原料業者であったならば、この業者とはお付き合いをやめたほうが良いでしょう。「品質重視」を理念として持っていない経営者の下では、安全でよい品質の原材料を供給することはできないからです。
(3)具体的な指導のポイント
納入業者に対して実際に指導するにあたり、具体的な指導のポイントとしては次の5項目が挙げられます。
①改善事項に対しての認識を共有化する
原料業者の指導を開始する時には、過去の受け入れ検査のデータなどにより「何がこの工場の問題点であるのか」を明示し、改善の必要性を認識してもらいます。
②具体的な改善計画書をたてる
指導時に実施した管理状況のチェック結果について文書化し、その内容を具体的に説明し、理解を深めてもらいます。さらに、指摘した改善を要する事項について、「何を、だれが、何時までに、どのような方法で」改善するのかを改善計画書として提出してもらいます。
③指導後の改善状況のチェックおよび再指導
改善指導を実施した後、2~3ヵ月は納入される原材料の受け入れ検査の結果を観察します。成果が現れないようであれば、再度現地に出向き、改善計画の進捗状況を確認します。この時、進捗が遅れていることが確認されたら、改善が進んでいない原因を調査し、問題点を再度顕在化して再指導します。
④原料業者とメーカーとの共同作戦で取り組む
原料業者に原料の使用者であるメーカーとは運命共同体であるとの認識を持ち、改善方法を押し付けるのではなく、「共に考え、共に取り組む」というスタンスで接する共同作戦が重要です。
⑤品質管理に関する知識や技術面に関する教育の支援
前述したように零細な原料業者には、人材が不足していますので、品質管理に関する知識や技術面での支援も併せて行うことが必要であり、このことが改善を円滑に進めるキーポイントとなります。
当協会では、国内工場、海外工場の工場診断や改善指導を行っています。
冷凍食品だけでなく、生鮮食品から加工食品まで幅広いカテゴリーに対しての診断・指導実績があり、現場の実力や実情に合わせた指導を行います。
詳細につきましては、以下までお問い合わせ下さい。
お問合せ先
(財)日本冷凍食品検査協会 企画開発事業部 担当:山中、吉田
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