大粒イチゴの収穫支援ロボット

イチゴの収穫ロボット。熟度、大きさ、形を判
別することができる

 宇都宮大学と同大発ベンチャーのアイ・イート(株)(栃木県宇都宮市、寺門孝社長)は、モジュール分散協働型収穫支援ロボットシステム(自走式イチゴ収穫ロボット)を展示した。同大独自の自立移動機能を実装した移動ロボット3台に、それぞれ「収穫モジュール」、「観測・巡視モジュール」、「運搬・集荷モジュール」を搭載。必要な機能を3つに分散し、協働システムとして再構築した。
 収穫ロボットはカメラ画像からイチゴの赤色を抽出し熟度を判別する。完熟のイチゴだけを摘み取る。摘み取る際は茎を検出して切ると同時に把持するため、果皮に触れることがない。
 観測・巡視ロボットはビニルハウス内を移動し、温度や湿度、照度を計測。最適な栽培環境の維持管理を行う。観測データを蓄積することで成長モデルの構築やトレーサビリティを可能とする。運搬・集荷ロボットは収穫ロボットからイチゴを受け取り搬送する役割を担う。果皮に触れないようイチゴを専用のストッカに収納する。作業者に追従して協働することもできる。
 すでに同システムによって収穫された栃木産の大粒イチゴは専用の個別包装機「フレシェル」に入れて欧州へ輸出しており、国際味覚審査機構(iTQi)で最高賞の三ツ星を受賞した。
 開発者である尾崎功一宇都宮大大学院工学研究科教授の研究室に在籍する学生は「ロボットは長時間働き続けられるので、収穫量は人間の3倍。しかも収穫から運搬、輸送まで、果皮に触れることはないので、イチゴのブランディングにもつながる」とメリットを語っている。

イチゴの運搬ロボット。レーザー測域センサー
を利用して栽培棚に平行に自律走行する

栽培環境を観測するロボット。クラウドサーバ
ーに各データを蓄積する