“対コンビニ”で惣菜強化

 西友は惣菜カテゴリーを強化し、“対コンビニ”を意識した商品開発に注力する。惣菜子会社の若菜への設備投資を継続し、今期は前年の1.5倍に投資額を引き上げる。

中村社長(左)と唐揚協会の八木宏一郎専務理事

 若菜の中村真紀社長は「昨年は弁当やおにぎり、パスタを大幅にリニューアルしたほか、最大の特長である“低価格”を維持したまま、店内調理や品質にこだわった商品を拡充することで、新規顧客獲得に成功した」と振り返った。「今年は消費増税後も需要の拡大が見込まれる中食市場で、競合スーパーやコンビニエンスストアからの顧客獲得を視野に、ワンランク上の商品開発を進める」としている。これに伴い、自社工場の機能を強化することを明らかにした。
 コンビニおにぎり市場の半分を占める直巻きを自社工場で本格製造するため、専用の成型機を導入した。コンビニで成長を続けるサラダに対抗するため、生野菜の洗浄機能に設備投資した。これらを自社工場で手がけることで低コスト化を実現、コンビニに比べて1〜2割ほど低価格で提供できるとしている。
 店内では夕方以降のオペレーションに手を加える。小容量を中心とした商品を補充、米飯の品揃えを大幅に増やす。販売動向に合わせて、スタッフを夕方にシフト変更する。昨年、関東の32店で先行実施したが、ある店舗では夜間(18〜24時)の売上げが前年比20%増になったという。今年は全国約300店に拡大する。

唐揚協会監修「中津からあげ」を低価格で

専門店の味が楽しめる「中津からあげ」

 西友はコンビニからの顧客を獲得するため、話題性のある商品開発にも取り組む。日本唐揚協会の監修による新商品「中津からあげ」(醤油味・塩味)を4日発売した。100g185円(税抜)。
 若菜の工場で10種類の調味料やスパイスをブレンドした特製タレと、鶏の旨味をダイレクトに引き出すため極力薄く粉打ちする“うす衣”が特徴。
 一般的な量販店が手がける唐揚げの衣率が平均30%なのに対し、「中津からあげ」は9%。唐揚げ専門店の平均10%に近づけた。揚げる直前に店内厨房で衣をつけることで、冷めてもサクサクとした食感を持続させる。
 若菜の江原秀和商品部長は「自社工場で下ごしらえし、店舗の厨房で細かな調理を加えることで、専門店の味に引けを取らないクオリティに仕上げた。専門店の平均は100g250円、2割以上安い価格で提供できる」と説明した。
 第2弾は5月下旬に「中津のとりもも唐揚」、第3弾は夏以降、味付けを変えて投入する。

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)4月9日号掲載