金華山沖のサバを原料に「竈さば缶」開発
�蝪截腺唯腺圍蓮‖緝充萃�役社長 都留城太郎氏
都留社長
ベーリング海・アラスカ湾の水産物を輸入販売するＹＡＭＡＴＯ（宮城県塩釜市）は宮城県の金華山沖で漁獲した真サバを使った缶詰を昨年発売した。
サバは同じ宮城県の石巻漁港に揚がれば全国的に有名な「金華さば」を名乗れるが、塩釜港では無名のまま。それならと２年前に商品開発に取り組み「竈（がま）さば」と名付けた。
都留社長は「ブランド力を高めて地元水産業の活性化に貢献したい」と語る。
――「竈さば缶」の原料は？
都留 好漁場の金華山沖で秋から冬にかけて獲れ、塩釜港に水揚げされた真サバを使っています。当社の工場で500ｇ以上の大型だけを選別して急速凍結し、生産は「鯨大和煮」で有名な木の屋石巻水産（石巻市）に委託しています。脂が乗って臭みがないのが特徴で、水煮、味噌煮ともに味は高評価をいただいています。
――水産物の輸入販売がメインだが、サバ缶を開発したのはなぜ？
都留 当社は東日本大震災後にサバやイワシ、サンマなど前浜（近海）の魚を取り扱う目的で選別凍結工場を建設しました。
当初は石巻からサバを仕入れたり、気仙沼や女川からサンマを仕入れたりしていましたが、７〜８年前に塩竈市魚市場が生マグロ以外の魚の水揚げ量を増やそうと漁船誘致に乗り出し、当社も参加しました。塩釜港に揚がったサバの買い付けを始めました。
そうした中で、同じ漁場で獲れたサバでも石巻に揚がれば「金華さば」と呼べるのに、塩釜に揚がったサバは無名のままであることに気づきました。そこでブランド化を進めるためにサバ缶の商品化を思い立ち、塩釜の正式名称である「塩竈」にちなんで「竈さば」（商標登録済）と名付けました。
――どこで販売している？
都留 当社の楽天市場「海の幸なのにＹＡＭＡＴＯ」で取り扱っているほか、市役所や塩竈市魚市場、市内のホテル、小売店、回転すし店などです。
――商品開発はサバ缶にとどまらない。
都留 燻製加工した「竈さば生ハム」も好評です。７日間かけて超低温燻製し、うま味を引き出しています。さらに仕上げに炙りを加えて薫香を引き立たせました。生産は保存料・着色料・化学調味料不使用にこだわった水産加工会社の木川屋本店（山形県遊佐町）に委託しています。
業務用ではベトナムにある当社の協力工場で骨取りフィーレなどに２次加工し、国内の荷受けに卸しています。
――今後の展開は？
都留 「竈さば缶」はカレー味の商品開発を進めており、発売は来年を予定しています。
近年はサンマだけでなく、サバも漁獲量が安定しませんが、地元水産業の復活に少しでも貢献できるよう商品ラインナップを拡充してブランド力を高めていきたいと思います。
塩釜港に水揚げされた真サバを使った「竈さば缶」（水煮・味噌煮）、１缶（固形量110ｇ
・内容総量170ｇ）350円（税込）
（つる・じょうたろう）1970年宮城県塩釜市生まれ。航空機部品の輸入商社を経て2013年ＹＡＭＡＴＯ入社。ネット通販事業の拡充に取り組む。2017年社長就任。趣味は剣道。高校時代には県選抜で国体出場。法政大学経営学部経営学科卒。51歳。