新鋭加工機器を導入、需要増に備える
上野製作所 代表取締役社長 上野秀雄氏

 厨房設備機器の設計施工で実績のある上野製作所(上野秀雄社長、東京・江戸川)はこのほど最新型NCレーザーパンチプレスシステムを千葉県八千代工場に導入した。ステンレス加工の精度アップと能力増強を図り、3年後の東京五輪開催に向けて期待される厨房設備の需要増に備える。

    上野社長

 同社は1953年、上野一雄氏が創業したステンレス設備加工の老舗。1997年に長男の秀雄氏が社長を引き継ぎ今日に至る。秀雄氏は業界団体の一般社団法人日本厨房工業会の副会長、関東厨房機器協同組合の理事長を務めるなど業界のリーダーとして活躍している。
 同社が対象市場とするレストラン、給食業界は近年、衛生管理面はもとより安全性、省力化、省エネなど高い水準の設備能力を求められている。さらに顧客のニーズは多種多様で、顧客の求めに合わせた的確な対応が不可欠。
 同社が製造販売するステンレス加工の作業台、戸棚、シンク、ガステーブルなどの厨房設備は顧客のオーダーメイドが多い。しかも大抵は建築物が完成したのちに、迅速正確に製造し、設置しなければならない。
 今回導入したレーザーパンチプレスシステムは予めプログラムした設計図に沿ってステンレス板を自動カット、穴あけする。このあと手作業中心に折り曲げ、溶接、組み立てを行うが、基本となるカット、穴あけの精度が完成品の出来映えを左右する。
 同社はステンレス加工をメインとする厨房設備機器メーカーの老舗だけに従業員の高齢化も進んでいる。中に創業時からの職人さんも現場で活躍している。
 加工技術の継承も大きな課題になっており、毎月勉強会を開き、ベタランが若手の指導に当たっているが、片やベテランの手におえない最新機器の操作を若手が習得して貢献する。
 最新システムの導入は若手にとってモチベーションのアップにつながることが期待されている。職人技と最新機械技術のバランスのとれた作業が今後の課題になりそうだ。
 上野秀雄社長は「東京五輪がらみの需要はまだ見えてこないが、建築が先で厨房設備は最後の最後になる。ただ、五輪バブルに浮かれることがないように、五輪後も見据えながら需要増に備えていきたい」と語る。