村上理事長
(一財)食品産業センターの村上秀徳理事長は9月30日開催した報道関係者との懇親会で食品産業をめぐる最近の諸問題について説明。新型コロナウイルスの対応についても解説した。
コロナについては、食料の安定供給を継続するため「食品そのものによる感染」という国民の不安を払しょくすることが重要だったと指摘。正常に衛生管理し、感染対策に適切に取り組んで操業している食品工場について「食品そのものによる感染」はないと厚労省、農水省が3月に打ち出したことで対処できたと説明した。
感染者が食品工場で発生した場合の事業の継続についても「農水省に手順等の対応策を求め、事業継続ガイドラインを作成してもらうことで対処できた。従来から衛生管理が厳格だったため特に問題はなかったが、センターが作成したガイドラインにならって休憩スペースや更衣室など比較的忘れがちな場所の取り組みについても盛り込んだ」。
「原料原産地表示との関係を含め中国からの原料調達が厳しいため、原料原産地の食品表示を臨機応変に変更することは困難。そこで輸入原料原産地の表示は規制緩和を要請した」。さらに国内での感染拡大の影響で、一部工場の操業が困難になったため「他の工場で生産した商品に新たな製造地を表示することは安定供給に問題が生じる。そこで輸入原料原産地以外の製造地固有番号等についても規制の緩和を要請した」と経過と背景を説明した。
同センターは「コロナ感染拡大に伴う影響について」アンケート調査を実施した。従業員の感染状況、製造工場の稼働状況、売上高と今後の見通しなどについて大手37社と中小5社の計42社が回答した。この中で「感染者の発生はあったが操業には概ね問題なかった。売上げは家庭用を中心に伸びたものの、業務用は落ち込んだ。相対的に見れば他の業態よりも良い状況である」と分析した。
他にも食品ロスの削減、プラスチック循環戦略、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応、新たな外国人材受け入れ、食品衛生法改正、食品表示制度の見直しについて現状と同センターの考えを語った。