大型冷凍車の受注が大幅増に

 車両架装メーカーの矢野特殊自動車は、大型冷凍車、大型冷凍ウイング等の受注が増え、2014年度下期から工場のフル稼働が続いている。庫内長・大容量の冷凍車「18パレット積みロングボデー」やまぐろ運搬用「超低温輸送車」の受注も増えている。

    矢野特殊自動車の本社工場内

 受注から納車まで通常2〜3カ月のところ、「現在の納期は1年以上。大型冷凍車は1年5カ月後、大型冷凍ウイングは1年3カ月後の納車という状況」(バン車事業部の三丸和也技術本部長)。
 3月時点の冷凍車生産台数実績でみると、全国平均(車体工業会調べ)は前年比14%増に対して、矢野特殊自動車(子会社含む)の生産台数実績は18%増と4ポイント上回っている。
 燃油価格が下がって業績を回復した運送業者が車輌の代替に踏み切ったことや、排ガス規制対応車両の代替サイクルの関係で、同業他社も軒並み生産台数が増えているが、矢野特殊自動車は平均値を上回るオーダーがある。それは同社への評価が高いことを意味している。

     矢野社長(右)と三丸本部長

 評価が高い理由に、車両設備の細かな工夫もある。
 荷台の敷居に手を掛けやすいよう、取っ手の役割を果たす「ライスグレイン」を装備していることや、荷台を開けた際、扉がコンテナ外面にピタッと開き切る「ピタッとドア」の導入など、同社オリジナルのアイデアが車両の随所にある。
 「ピタッとドア」があると、従来型の少し開き気味の扉よりも「車両が隣り合った際、ホーム(ドックシェルター)付けをより安全に行うことができる」(三丸本部長)。
 矢野社長は「冷凍車の代替をこれまで我慢していた顧客が多い。ドライバー不足の中、顧客はより良い車両を求めて発注いただいている。より安全で、運転が快適な車両を提供したい」と意気込みを示している。

   大型冷凍車の生産はフル稼働

 同社は小型冷凍車を生産する能力も高いが、納車を早めるため、大型・中型を中心に受注し需要増に対応している。受注を一部減らすのは難しい判断だったが、大型冷凍車の受注が25%増(子会社工場の実績)に達するため、大型シフトを決めた。
 工場の稼働延長については「残業規制を考えると難しい」(矢野社長)として従来通りのシフトで、インフラを最大限に活用し需要に応えている。コンテナ板のレーダー切断機の新規導入など現場の機械化も一部進めている。