【タイ現地リポート】
トラック架装の受注好調、年間1100台めざす
フルハーフマハジャック 社長 最所英巳 氏
最所社長
日本フルハーフの子会社、フルハーフマハジャック（タイ国バンコク）は、コロナ禍で受注が一時期減ったが、昨年１〜12月の実績はコロナ前を上回る920台まで回復した。ユーザーの９割は現地企業。同社工場は生産余力がまだあり、月産100台は可能。今年は受注1100台をめざす。
――原材料費が上がっているはず。
最所 レーザー加工機やベンダー加工機を新たに導入するなど生産の内製化を進め、企業努力したうえで価格転嫁を進めている。価格転嫁は比較的できている。主な原材料はアルミパネルとポリスチレンフォーム断熱材（ＸＰＳ）。前者は中国から、後者は日本から輸入している。バーツ高は輸入には奏功している。タイ人が購買部長を務めている。工場従業員数は全体で115名。
――日本人スタッフは。
最所 私を含め５名。営業、製造、管理、設計が１名ずつ。営業部長として新たに栗山洋平が昨年着任した。
昨年実績はコロナ前を上回る920台
――冷凍車など車体架装の直近実績を確認したい。
最所 コロナ禍で受注が一時期減ったが、昨年１〜12月の実績はコロナ前を上回る920台まで回復した。ユーザーの９割は現地企業。当社工場は生産余力がまだあり、月産100台は可能。今年は受注1100台をめざす。
――前年実績920台の内訳を知りたい。
最所 小型のピックアップ車（１ｔ車、４輪）が約400台、２ｔ車（同）が約300台、それ以外は中型車（６輪）と大型車（10輪）。この中で２ｔ車が大幅に増え年30％増で推移している。２ｔ車はタイ国内でＣＶＳ約１万3000店を展開する大手小売業者に主に納車している。当社の２ｔ車の製品名は「KaruBo」（カルボ）。シャーシが1.9ｔ、コンテナ0.3ｔ。コンテナ重量を通常の約半分に抑え、シャーシとの合計重量2.2ｔ以下を実現している。
――2.2ｔ以下の理由を知りたい。
最所 時間指定なしでバンコク市内の配送に使用できる車両重量は2.2ｔ以下と法規で定められている。そのためバンコク市内を走る配送車両の大半がピックアップ車になっている。当社は２ｔ車でも市内配送に使用できるようコンテナを軽量化し「KaruBo」として製品化した。この製品を伸ばすことで今年1100台の目標達成を図る。
――「KaruBo」に冷凍機を取り付けると2.2ｔ以下にはならないはず。
最所 それが課題。冷凍機の重量だけで60〜100�圓發△襦�「KaruBo」の開発でコンテナを従来の半分の0.3ｔにしたが、それをさらに軽量化するか、シャーシメーカーの協力を得て、シャーシの軽量化により冷凍機付き「KaruBo」を具現化したい。
市場獲得に向けＱＣＤ磨く
――タイと同じアセアン加盟国のフィリピンにグループ企業「セントロ ニッポンフルハーフ クールテック」がある。
最所 フィリピンのグループ企業では冷凍２ｔ車を年間100台ほど受注している。タイの当社から冷凍車用の材料を送り込んでいる。ベトナムやインドネシアにもパートナー企業を増やしたい。
――架装メーカーがタイには何社ある？
最所 1000社にのぼる。大手企業にCHO THAVEE、CARRY BOYなどがある。当社は中堅。競合に勝つにはＱＣＤ（品質・価格・納期）のバランスが肝心。日本製は他国製より秀でているとの神話はなくなりつつあると実感している。タイ国内で見かける乗用車もヒュンダイ（韓国）やＭＧ（中国）が増えている。
――タイの物流業界で最近の話題は。
最所 素材大手ＳＣＧの子会社「ＳＣＧロジスティクス・マネジメント」（ＳＣＧＬ）と、大手物流会社「ＪＷＤインフォ」が合併し、東南アジア最大と言われる保管・物流企業「ＳＣＧＪＷＤロジスティクス」（ＳＪＷＤ）が２月に立ち上がったことが挙げられる。
身近なところでは、ＣＰセブン−イレブンで専用アプリから100ＴＨＢ（約390円）以上買い物をすると宅配してくれることが話題のひとつ。タイでは宅配サービスの担い手が多く、競争が激しさを増している。大手の宅配業者にKerry Express、Flash Expressなどがある。