魚介類の鮮度保持、−1℃にこだわり

 泉井鐵工所垣内高知工科大学ヒワサキと共同でDrink JAPANに出展し、スラリーアイス製造装置を訴求した。

会場では高知工科大学の学生が-1℃の氷を説明した

 スラリーアイスとは、微小な氷粒子と塩水等の液体が混ざり合った流動性のある氷のこと。直径0.1〜0.5mmの微小な氷が魚全体を包み込むので、海水に砕いた氷を混ぜたものに比べ冷却が速く、均一に冷却するので、魚の鮮度低下を遅らせる。
 微小なので魚体の損傷が少なく、流動性に優れるのでホース等で移送できる。

 一般的に魚介類は凍結すると鮮度が落ちる。魚介類が凍結する温度を調べると、−1℃〜−2℃であるという。
 日本で主に使われているスラリーアイス製造装置はドイツやカナダなどの外国製で、製氷段階でつくれるのは塩分濃度2%まで。この濃度から製造するスラリーアイスは−2℃まで下がってしまい、凍結する魚介類が出てしまう。
 鮮度保持に最適なのは魚介類が凍結するギリギリの−1℃のスラリーアイス。そのためには塩分濃度1%の塩水からの製氷する必要がある。氷の性質は塩分濃度により異なり、塩分濃度が低くなるにしたがい、氷は硬くなるが、泉井鐵工所、高知工科大学などが産官学共同事業で実用的な製造機の開発に成功した。

スラリーアイスを作る技術を応用

        果汁濃縮システム

 スラリーアイスを作る技術を応用した機器が、果汁などを濃縮するシステム。
 果汁やだし汁などの液状食品の水分をスラリー製氷機で氷粒子と濃縮液にし、遠心分離機で氷を分離して濃縮する方法。原液濃度3°Brixから40°Brixまで濃縮できる。
 熱や圧力を加えて濃縮する方法ではなく、氷点下で濃縮を行うので、栄養素を壊さない、香りが変わらない、減量して物流コストを下げる、味を濃くして使いやすくする、などのメリットが期待できる。
 海外には大型の機器があるが、小型の機器は少ないという。