国が介護食品の普及後押し、農水省の鵜狩氏が講演

 「フードシステムソリューション2013」では、介護食品の普及をめぐる課題を解説するセミナーが行われた。講師の鵜狩房浩氏(農林水産省食料産業局食品製造卸売課食品第3班課長補佐)は「介護食品の範囲を定義し、今はバラバラの名称も統一することが重要」と指摘。消費者にアピールしやすい制度づくりを国として検討していることを説明した。

規格の統一や品ぞろえ強化が課題

 農水省は今年2月、各業界の有識者による「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」を立ち上げた。介護食品の普及に向けた課題を議論し、7月に論点をまとめた。
 それによると、高齢者向けに市販されている介護食品の範囲を明確にし、現在は企業ごとに異なる規格を統一することを最優先課題としている。要介護度に応じて店頭で商品が選べるようになれば、潜在的な需要の取り込みにつながる。
 また、在宅介護を受ける高齢者の6割は低栄養傾向という調査結果もあり、栄養不足を防ぐ啓発の必要性を強調している。介護食品の品ぞろえの強化も指摘し、家庭で味付けなど調理の工夫ができる半製品的な商品の開発も進めるべきとしている。
 ただ、介護食を作る家族の負担は大きい。このため、コストが安く栄養面でも優れている配食サービスが不可欠としている。介護食品の提供は、例えば介護保険など公的サービスに位置づけることも検討すべきとしている。
  一方で、「介護食品」という名称に抵抗感を持つ消費者が多いため、イメージを良くするネーミングを課題に挙げている。
 鵜狩氏はこれらの論点を解説した上で、「国が来年度以降、予算措置する」と語った。