冷凍米飯をフル生産
味の素ウィンザー ポートランド工場（米国）
ポートランド工場外観
北米で味の素グループの冷凍食品事業を手掛ける味の素ウィンザー社（本社カリフォルニア州オンタリオ市、ベルナルド・クレイルマン社長）のポートランド工場（オレゴン州）は冷凍米飯、餃子、焼売を主に生産しているが、2009年ごろから品質を改良した米飯の売上げが急拡大し、フル生産が続いている。また、冷凍餃子を生産するメーカーは北米に３〜４社あるが、競合相手だったウィンザー・クオリティ・ホールディングスを14年に買収したことで「餃子はアメリカ�癸吋瓠璽�ーと言ってもいい」（同社）とトップメーカーに躍り出た。
焼き鳥炒飯
ポートランド工場はもともと日系企業が1994年から日本向けに冷凍食品の輸出拠点として操業していたが、2000年に味の素グループが工場を買い取って以降、味の素グループの冷凍食品工場として機能している。これに旧ウィンザー社の７工場を加えた８工場が味の素ウィンザーの生産工場になる。さらに、ポートランド工場のすぐそばにある、東洋水産との合弁会社、味の素東洋フローズンヌードル社の冷凍麺工場を加えると、味の素グループ全体では北米９カ所に冷凍食品の生産工場を抱えていることになる。
ポートランド工場の生産ラインは米飯２ラインに加え、牛丼やビビンバ丼などの丼物と餃子、焼売の計５ライン。
米飯は１ライン当たりの生産能力が日産７万ポンド（約32t）。人気商品「YAKITORI CHICKEN FRIED RICE （焼き鳥炒飯）」を生産する際は他の１品を組み合わせた２品のみで稼働しており、２交代制で17時間稼働、土日も休みなく生産している。焼き鳥炒飯は１食当たり９オンス（約252g）で６食入り。
牛丼、ビビンバ丼も人気アイテム
ビビンバ丼の具材を盛り付ける工程
丼ラインではビビンバ丼を製造。トレイに入れたご飯の上に、もやし、卵、肉などを手作業で盛り付け、シールする。同じラインで生産する牛丼は日本にはない商品だが、2000年から生産・販売している人気商品。原料の牛バラ肉が高騰した際も撤退することなく商品を供給し続けたことで、現在も高いマーケットシェアを維持している。
米は生産品目によって使い分ける。丼物には短・中粒米を使い、カリフォルニア州から調達する。炒飯類には長粒米を使い、アーカンソー州から仕入れている。基本的に、原料のほとんどはアメリカ国内で調達する。
いずれの製品も金属探知機とエックス線検査装置を通しているが、アメリカではまだエックス線検査装置が一般的ではないという。
冷凍米飯の生産能力を1.5倍に
ビビンバ丼
米飯、餃子、焼売とも生産量は年々伸びているが、そのうち米飯は15年の生産量が07年比で約４倍に増え、生産能力がピークに達しているため、16年の生産量も同程度を見込んでいる。
冷凍米飯は24億円を投じてオークランド工場（ミシシッピ州）に生産ラインを新設し、生産能力を1.5倍に増強しているため、味の素ウィンザーとしてはこの先の需要増にも応えられる生産体制を敷いている。
農務省の検査官が常駐
ポートランド工場が日本の工場と異なるのは、ＵＳＤＡ（農務省）の検査官が常駐している点。工場内には専用のオフィスもある。畜肉具材や畜肉エキス入りの製品を製造する際は必ず検査官が立ち会う。そのため、トレイなどの生産用具を清掃する部屋は照明を明るくし、検査官が見やすい状態にしてある。さらに、生産機械を清掃する際は機械全体を水洗いしなければならない。
検査官はアメリカ国内の畜肉を扱うすべての食品工場に常駐しているわけではなく、一定のエリアを担当しているという。ほかに、オレゴン州の検査官が時々工場を訪ねてくる。