阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −９−
「５Ｓに始まりＨＡＣＣＰ認定まで」
Ｓ社の５Ｓ活動６年間を省みて（２）
（４）５Ｓの第一歩「整理」から
５Ｓは整理から
食品工場にふさわしい環境整備のため、工場周辺の草取りから開始した。工場内は不要物一掃のため、赤札作戦で口火をきる。
まずは赤札つくりから始め、事務所・工場内にあった不要物（１カ月以上使用してない機器・物品）に赤札を各職場でとりつけた。
通常、活動の中心は製造部門であるが、事務部門の活動と支援は成果の範囲が一層広がり、綿密な改善につながる。特に総務部長の陣頭指揮による積極的な活動は頭が下がった。
最初の成果は３階の事務所倉庫の不要物・書類の処分で、手狭になっていた床が大広間になり、さらに手を加えて倉庫の一部が会議室に生まれ変わった。
（５）目標を明確に
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山陰の過疎県、当然対象の消費人口には限りがある。そこで、従来は地元中心の地産地消だったが、西日本・近畿圏・関東圏への市場拡大を図る。
自社ブランドの育成と商品開発の強化、地産水産物の付加価値商品の拡売。当初はやや過剰な目標と思っていた。
��提案制度とのリンク
目標を提案件数１年間１人１件と設定したものの、当初は集まらず、管理職や委員が現場の従業員に提案のヒントを出したり、簡単な案件も件数に入れた。
しかし、５Ｓ活動が現場に浸透しだすと、現場の従業員から身近な職場の改善提案が増えてきた、さらにＡ工場とＢ工場の２工場で競争となり、本来の改善活動になってきた。2010年には目標も年間１人２件を達成した。
��クレーム件数
クレーム件数の増大と異物混入防止には、当初は十分な対応ができなかった。
自社ブランド商品の拡大とともにクレームは増大し、悪質な異物混入事件がたびたび発生し、取り引き中止に追い込まれる。だが、品質保証部の担当者・現場の皆さんの地道な害虫駆除、毛髪混入防止活動が功を奏して、次第に改善につながり、重要得意先から信頼が得られるようになってきた。
�た�場安全確保は生産性向上の原点
従業員には作業に際し「安全に・楽に・早く」と呼びかけ、職場の改善を進めた。
無災害記録の目標を最初は３桁と日数を定めたものの、何度も達成できなかった。そこで現場の対策を重ね、１年間に無災害記録目標を引き上げ、現在365日を突破した。次なる目標は1000日へと前進させた。
無災害記録もはっきりと掲示
目標達成に向けてスタッフはモチベーションが上がる