凸版印刷はセルロースナノファイバー(CNF)を使った飲料用紙カップで、高いバリア性と密閉性を併せ持つ「CNFエコフラットカップ」を開発した。プラスチック使用量の大幅削減と商品のロングライフ化を実現する。サンプル出荷を4月から開始する。
日本製紙グループと性能改善に取り組み、共同開発したCNFを原紙にコーティングすることで、高いバリア性を獲得した。これに凸版印刷が特殊加工を施し、完全密閉構造にして長期保存化を実現した。
CNFを使った紙コップはこれまで固形食品の用途にしか使えなかったが、今回の新製品は飲料などの液体に使うことができる。
プラスチック使用量は従来のプラスチックカップと比較して約50%削減する。また、CNFはバイオマス素材であるため、CO2排出量は約20削減する。
CNFは紙の原料となる木の繊維をナノオーダーにまで微細化したバイオマス素材で、軽くて強い、熱変形が小さいなどの優れた特性を持つ。高価なカーボンナノファイバー(炭素繊維)と違って、日本国内に豊富にある森林を原料に使えるため日本の優位性は高いと言われる。現在は自動車、航空機、電子部品、食品、医薬、衛生用品などさまざまな分野で研究が進められており、経済産業省は製造コストが下がれば国内市場は1兆円規模にふくらむと見込む。
高いバリア性と密閉性を併せ持つ「CNFエコフラットカップ」