日本食の疲労軽減効果を立証
 冷凍食品など開発し事業化図る

 大阪市立大学健康科学イノベーションセンターの渡邊恭良センター所長らの研究グループは、日本食の抗疲労効果を科学的に立証し、その成果をレシピ本にまとめた。
 大阪北新地の割烹料理店「粋餐 石和川(すいさん いわかわ)」の浦上浩店主が考案した抗疲労日本食メニュー82種を「抗疲労レシピ本」にまとめた。最新の抗疲労研究成果に裏打ちされた「和」の簡単レシピを掲載している。9月初旬、丸善出版から発行する。
 渡邊センター所長が副プログラムディレクターを務め、同大学も参画する事業拠点「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス」は、このレシピを応用した冷凍食品や宅配食材の開発など、抗疲労食の普及・事業化を進めている。

科学的な裏付けのある抗疲労レシピ

 渡邊センター所長らの研究グループは北海道大学、天使大学と共同で、「日本食がなぜ健康に良いのか」を科学的に立証するため『日本食によるストレス・脳機能改善効果の解明』を課題とする研究を行っている。
 その一環として、抗疲労素材を多く使った日本食を「粋餐 石和川」と共同開発した。その日本食を24名(女性12名、男性12名、21〜69歳)の健常ボランティアに食べてもらい、抗疲労効果に関する試験を行った。
 試験参加者の約半数は、開発した抗疲労日本食を3週間、夕食として摂取した。2週間のウォッシュアウト期間を経て、コントロール食を3週間摂取した。コントロール食は20〜60代の各年代男女100名ずつ、約1000名の食事に関するアンケート調査結果を基に開発した。
 残りの約半数の参加者は、摂取の順番を入れ替えて、先にコントロール食を3週間摂取し、後で抗疲労食を3週間摂取した。
 その結果、コントロール食と比較すると、抗疲労日本食を摂取することで、疲労感の軽減効果、安静時の自律神経機能の改善効果、一部の血液中成分に改善効果があることが分かった。
 この試験で食された抗疲労日本食がレシピになっている。高価な食材をあえて使わず、気軽に簡単に作れる。しかも、日本を代表する料理人との共同で開発した食事は、栄養バランスだけでなく、おいしさにもこだわっている。
 同研究グループは2011年7月にもレシピ本「抗疲労食」を発行し、好評を得ている。