食品メーカーに活用の動き、SDGs債

 環境(Environment)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点で投資判断評価を行うESG投資が国内外で活発化する中、国内の食品メーカーもSDGs債(環境債)を活用し、ESG経営を強化する動きが始まった。

 マルハニチロは日本初となる海洋保護債の「ブルーボンド」(第1回無担保社債)を発行すると9月29日発表した。5年債50億円で、発行は10月下旬を予定している。調達資金はサーモン陸上養殖事業など環境持続型の漁業・養殖事業に充当する。

 同社は起債に際し「ブルーファイナンス・フレームワーク」を策定した。

 それによると、「世界No.1の水産会社として、異常気象、水産資源減少リスクなどを踏まえた地球環境との共生や、サプライチェーンの人権リスクへの対応など、当社グループが果たすべき役割を明確にし、マテリアリティを見直し、環境価値、社会価値の創造をめざす」とし、環境価値創造のマテリアリティ(重要課題)として「気候変動問題への対応」や「循環型社会実現への貢献」を、社会価値創造では「持続可能なサプライチェーンの構築」などを定めた。

 そのうえでCO2排出量削減ロードマップを2022年中に策定するなど課題解決に向けた戦略を示した。

環境配慮のみそ熟成庫建設

 ひかり味噌は「グリーンボンド(私募債)」を9月26日発行した。10年債3.5億円。飯島グリーン工場(長野県上伊那郡飯島町)に建設予定の味噌熟成庫「未来蔵 MIRAIZO」の建設・設備資金に充てる。

 水力発電によるCO2フリー電力の採用、A重油からLNG(液化天然ガス)への燃料転換、メタンガスボイラーの利用などを進め、CO2排出量を旧工場比で40%削減する。

 同社が策定したフレームワークでは「安心安全なオーガニック商品を通じた環境保全への寄与」など4項目を重点課題として位置づけ、2030年にオーガニック味噌の生産量を5000tにするなどの目標を示した。