長瀬産業はパンの「ボリュームアップ」と「柔らかさの持続」に効果を発揮する製パン用酵素「デナベイクEXTRA」を10月3日発売した。「柔らかさ」を出しながらも口溶けが良いパンになる。
デナベイクEXTRA
成分はエキソマルトテトラオヒドラーゼ(G4生成酵素)。テストでは、デナベイクを使ったパンは不使用のパンに比べ約12%のボリュームアップが見られた。さらに、柔らかさ(圧力応力として測定)は焼成1日後で7.1g/ ㎠と、不使用のパン(49.6g/㎠)の約半分。6日後でも61.5g/㎠の柔らかさを保ち、3日後の不使用のパン(69.7g/㎠)より柔らかかった。
メカニズムとしては、G4生成酵素がでん粉を4連鎖のブドウ糖に切断する性質があることから、でん粉結晶を適度に「ほぐす」ものと考えられる。柔らかさを保つことから、冷凍パンへの利用も期待できる。
ナガセケムテックスと2012年にNAGASEグループ入りした林原が初めて共同開発した製品。これまで林原は酵素を使って高付加価値の機能性糖質を開発しており、糖化用の独自酵素を多数所有している。その中で、エキソマルトテトラオヒドラーゼ(G4生成酵素)が製パン用に有効であることが分かり、今回の製品化につながった。ナガセケムテックは様々な酵素を量産化して製剤化する優れたノウハウがあり、デナベイクEXTRAの製造を担う。
現在、様々な加工食品で遺伝子組換え品(GMO)が使用されている。製パン業界でもGMO由来の原料や酵素などを使用しており、懸念する声が挙がっている。エキソマルトテトラオヒドラーゼはNON‐GMO製品。以前から厚生労働省告示の添加物名簿にも収録され、安全性が認められた製品として今後の利用が期待される。長瀬産業としては食品用酵素製主力商品に育てる方針。