横浜冷凍(横浜市、松原弘幸社長)は物流型冷蔵倉庫「つくば物流センター」を茨城県つくば市に竣工し、このほど稼働開始した。太陽光発電システムなどを導入して環境対応を徹底するほか、貨物にやさしい自然対流、ふく射冷却システムなど最新鋭のハードを備えた。合戸勇一所長は「ハード面にひけをとらないように、ソフト面にも力を入れ、最高の業務品質と、安全・安心を提供する」と強調する。
冷却設備として、自然対流冷却方式のYuricargo(ユリカーゴ)を業界で初めて導入した。ユリカーゴは自然冷媒のアンモニア(NH3)と二酸化炭素を用いた貨物にやさしい自然対流&ふく射冷却システム。自然対流とは2重天井の上側の空間を冷やすことで、下側の庫内天井部分が冷却されると温度変化が極めて少ない無風状態となることを指す。
自然対流により貨物を乾燥や冷凍やけ、色あせがほとんどない状態に保ち、長期間にわたる高品質保管を可能にする。天井面の霜付きも発生しないため、霜取りに費やす作業時間と人員を大幅に省くことができる。
ユリカーゴの名称は、貨物をゆりかごの中で優しく包み込む姿をイメージしたもの。横浜冷凍が命名した。
NH3/CO2のカスケードユニットは、大型レシプロ圧縮機に半密閉モータを搭載した、業界初のアンモニアCO2冷却システム。しかも業界最小設置面積という。
温度変化にシビアな商品も万全の状態で入出庫できるよう荷捌き場(常時5℃設定)に、外気・塵の進入を防ぐ高効率陽圧除湿空調システム「DEMS(ディームズ)」を取り入れた。DEMSはデシカント(除湿)式に比べ冷却工程が1カ所少ないシンプルな構造。しかも電気代はデシカント式比65%と低く省エネになる。
DEMSは舞洲物流センター(大阪)で既に導入している。
その実績を評価し、つくば物流センターでも導入を決めた。
1階荷捌き場に高効率陽圧除湿空調システムを取り入れた
つくば物流センターに太陽光発電システムを導入する。屋上にソーラーパネル1904枚を設置し、この発電能力は618.8KWを有する。同社国内全体の発電能力は、つくば物流センターを加えると5MWを超えることになる。
また、自家消費用と災害時のバックアップとしてリチウムイオン蓄電池11.2KW×3基を導入する。太陽光発電設備と連携させることで、災害時の電源を確保できる。
照明は全館LED照明。防熱材のウレタン発泡剤にオゾン破壊係数ゼロのHFO1234zdを使用し、防熱でも温暖化ガスを排出しない。
建物全体のエネルギー使用はBEMS(ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)で管理し、無駄を抑える。
BEMSは建物の設備機器の消費電力データを収集し、グラフで表示する機能。エネルギー利用状況、設備機器の運転状況をエリア毎に視覚的に把握できる。全フロアのヒーターの温度や運転スケジュールも一元的に管理する。
BEMSにより電力利用状況を見える化し、総電力使用量の抑制につなげるだけでなく、従業員の省エネ意識の向上を促す。来館者には省エネの取り組みを大型ディスプレイで情報提供する。企業の社会的責任を果たす取り組みを分かりやすく示す。
屋上にソーラーパネル1904枚(発電能力618.8KW)を設置した