【年頭所感】
先行き不透明な時代にこそ包装の果たすべき役割
日本包装技術協会 矢嶋進会長

    矢嶋会長

 新型コロナウイルスは、2020年度の協会活動にも深刻な影響を与え、9月までの上半期事業は一部の研修会を除き縮小、停滞を余儀なくされる事態となった。一方、この間に「with コロナ」の対応が進み、当会においては7月以降、各種Webアプリケーションを利用したリモート会議や講習会を開催するなど会員の要望に応える事業を展開している。

 「包装」は生産物の流通や消費に直接結びつく技術であり、需要に応じて変化の必要があると感じる。コロナ禍においては、巣ごもり需要の拡大で、食品やその包装への安全性を求める動きが強くなり、トレーサビリティの浸透も相まって包装技術への期待は高まりつつあるといえる。

 また、近年海洋プラスチックごみが社会問題となり、対策のひとつとしてレジ袋有料化が進められるなど、包装の環境への配慮も大きな関心となっている。さらに、欧州に端を発した温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」への取組みについても、日本は2050年の実現を掲げているが、包装が果たすべき役割は決して小さくないと考えている。

 今後も国内のみならず、世界各国の包装関係団体と協調し、さまざまな世界的な要請に対応しつつ、包装の役割についてより一層の啓発活動を行う。

 今年2月にはわが国包装産業界の総力を結集して2021東京国際包装展を開催する。国民生活に資するイノベーションや包装・流通産業界の新たなビジネスの創出と拡充の機会となり、包装産業の発展に寄与する活力として貢献していく。