主力の「断熱パネル」、工場新設時に採用続く
ＦＳＰ（株） 代表取締役社長 福島 亮氏 （福島工業 専務取締役）
福島工業は昭和電工と共同出資で、プレハブ式冷凍冷蔵庫パネルの製販会社「ＦＳＰ（株）」を昨年設立した。大型冷蔵庫や冷蔵倉庫を設計・施工する福島工業のエンジニアリング事業を後支えする。福島工業の専務であり、ＥＮＧ事業を統括している福島亮社長に１年目を振り返り、今後の戦略を聞いた。
福島社長
――パネル製造、販売会社として発足した。
福島 三洋昭和パネルシステム社のパネル事業を引き継ぐ形で、昨年１月に会社が発足、４月から本格的に営業活動をスタートさせました。まもなく１年が経過します。１年目の販売目標はおよそ60億円としていましたが、計画通りの数値で着地する見込みです。懸念は収益面だったのですが、これも東京神田にあった本社を、福島工業の東京支社内に移すなどスリム化することで目標をクリアできそうです。
――１年目は組織づくりだ。
福島 この１年で今後どう動いていくべきか、おおよそのことが見えてきました。どこに力を入れて事業を進めていくか、これが２年目からの課題となります。まず着手しなければならないのが、人材に対する投資です。スタッフの数も前身会社に比べて少なくなっていますので、それを補完しなければなりません。数だけでなく層も厚くしたい。エンジニアリングの最前に立つ設計や施工の技術は、個人が持つノウハウが生きてきます。会社とともに私自身も、そして社員も成長できればと思います。
――１年目を振り返って。
福島 当社に限らず、パネル業界全般的なことですが、ユーザーが工場を新設するなど、以前に比べて案件は回復しつつあります。特に食品業界の投資は目立ちました。コンビニエンスストア向けのベンダー工場や、スーパーマーケットのセントラルキッチンなどは元気がありましたね。
現在手がけているスーパーマーケットのセントラルキッチンには、当社主力の「ディフェンダーパネル」が採用されます。パネル両面にロックウールを採用した、独自の間仕切用耐火断熱パネルです。通常のパネルは、耐火壁であるＡＬＣ板と断熱パネルという複数の層からなりますが、当社の技術は自立可能なパネルの建て込み工法を採用しています。このため、防火区画、断熱工事、内装工事など、工期が従来２工程必要だったのが、１工程で完了。短期間での施工が可能となりました。コストも抑えることができるなど、それらの点をユーザーから評価いただきました。
――１年目から、セントラルキッチンなど好調な業態の仕事を得て幸先がいい。
福島 ベンダー工場やセントラルキッチンの動向に非常に注目しています。福島工業にとってエンジニアリング関係の仕事は、これから最も拡大させたい部門です。専門事業部も発足させました。私も福島工業の専務としてエンジニアリング事業部を統括していますが、福島工業のエンジニアリング事業部とＦＳＰはより密接な関係となるでしょう。
もう一つはグループ会社の�盒狭�業の存在です。�盒狭�業のフリーザーが導入されるところには、必ず冷蔵庫も導入されます。その冷蔵庫にはプレハブのパネルが必要になります。こうした一連の施設を建てるためには福島工業のエンジニアリング力が必要となるはずです。福島工業、�盒狭�業、ＦＳＰ――。この３社の相乗的な事業が期待できます。
――今後の展望は。
福島 まずは“パネルを育てる”。これに尽きます。「ディフェンダーパネル」のような、大型の冷凍冷蔵倉庫に適した断熱パネル、あるいは食品加工室など人が作業する部屋に適した不燃パネルなど、自信を持ってパネルを提供しています。しかし、そこに甘んじることなく、より技術を研磨させます。親会社（福島工業）に頼らずに販売を伸ばすには、今まで以上に商品力を高める必要があります。現在、パネル業界では第３位。これを早い段階でトップとなれるよう、スタッフ一同士気を高めています。