畑から食卓に「安全」届ける技術盛り込む
青果物の生産・流通技術展「アグロ・イノベーション」

 青果物の生産・流通技術展「アグロ・イノベーション」が千葉の幕張メッセで25〜27日開催された。生産現場から販売現場までをつなぐ青果物の生産・流通技術、サービスを一堂に会することで、諸問題の解決と産業の盛り上がりを図る専門展。次代を担う若い世代の生産関係者の来場が目立った。

 三菱化学は太陽電池を利用した閉鎖型の植物工場事業を紹介した。蛍光灯よりも寿命が長いLEDと太陽光によって電気代をまかなう太陽電池を組み合わせた照明システムにより、照明に使うコストを従来に比べて三割程度減らせるという。野菜などを効率的に栽培できるとして、蛍光灯などの照明光を活用する植物工場の設置件数は増えているが、照明に掛かる電気代や光源の交換費用などによって栽培コストを引き下げにくいという課題があった。
 ブース内では三菱樹脂が折りたたみ可能で、繰り返し洗浄できる保冷・保温コンテナ「ヒシコンテナASKOC−30」を展示した。原料はすべてポリオレフィン系樹脂を使用しているため、再原料化が可能。組み立ても簡単。折りたためば高さは四割となるため、保管や輸送が便利となる。保冷性能は、室温40℃の環境下で2℃の冷水28ℓを8時間放置した後でも水温が10℃に達しなかった、と同社の実験で確認したという。生鮮食品や冷凍食品向けに使用を呼びかけた。

 アグリコンパスは栽培の計画や栽培基準、工程の記録、履歴出力など栽培管理に必要な情報をインターネットで接続してパソコンで管理するシステムや、防塵、防滴機能のため農場に携帯でき、リアルタイムに工程管理を更新するタッチパネル式の携帯情報端末を紹介した。タッチパネル式なのでパソコンが苦手な人も簡単に栽培工程の記録が操作でき、ブースではベテランの農業関係者の問い合わせに応じていた。

 シンワは野菜用フィルム包装機を展示した。1分間に24パック処理でき、包装対象も青ネギ、白ネギ、ニラ、ゴボウなどの長物から、ほうれん草、春菊などの葉物、ナス、ニンジン、ダイコンなど幅広く対応している。

シンワの野菜用フィルム包装機

 今村機械はネギの重量選別機械を展示した。従来、大きさによる選別機はあったが、重量による選別機はなかったという。ベルト搬送部分に電子秤を設けることで正確に選別する。同社はもともと生花の重量選別機械を扱っていたが、ユーザー側からの問い合わせによりネギ選別に応用させた。最大処理能力は1時間に3000本。

今村機械のネギの重量選別機械

 クイックロックジャパンはパンなどの結束材で知られる「バッグクロージャー」と結束機を展示した。パン以外に青果や加工食品でも提案し、他社商品と差別化する販売促進ツールのオンパックPOPとして売り出している。
 結束機は既設の包装機と連動することができる。自動生産ラインに自動結束機から単動の半自動結束機・手結束機までラインアップを取り揃えており、様々な生産環境に対応する。半自動結束機はベルトドライブ式で作業性・操作性が向上。クロージャーと印字・印刷したラベル機能を持つラベルクロージャーとの兼用で、オプションとして青果物などの結束の仕上げに適している。ラベルにはQRコードを利用してトレーサビリティなどの情報発信ができる。

クイックロックジャパンの結束機

自家農場の取り組みを紹介しているブースもあった