水産タイムズ社は「コストダウンを楽しもう」をテーマとする食品工場改善セミナーを名古屋市で26日開催した。食品メーカーの製造担当者ら40名が全国から参加した。講師の小杉直輝氏は自身が指導している工場の改善実績を例に挙げ、ムダになっているポイントを動画などを多用して説明した。
小杉直輝氏
単品ダンゴ生産から多品種生産に変え、流れのある生産に変えることを改善のポイントに挙げ、そのための道具と手段として「カンバン」を有効活用することを助言した。「カンバンは単純なものにする。うまく活用すれば伝達の道具だけでなく、改善の手段へと飛躍する力を秘めている」という。
また、作業者が多工程持ち作業をできるように設備配置しなければならないとした。「手待ち」の時間を多工程作業に変えることを強調。小杉氏が指導したほとんどの工場でスタッフが「手待ち」の時間に何もせず、隣のスタッフや機械の動きを傍観。食材が自分のもとに来るのを待っているだけだったという。「これは生産性ゼロ。ムダ以外何物でもない」と厳しく指摘した。
ムダになっているポイントを動画を多用して説明した
機械が行なう作業と人が行なう作業を分けることが改善になる。機械の加工時間中は作業者が開放される時間であり、多工程作業ができるもっとも活用すべき時間。時間が来たら、一定温度になれば、不良品が出たら、包装機で資材がなくなれば、そのときに機械が止まるのであり、作業者が機械のそばに付きっきりでいる必要はない。「指導した工場では機械に付きっきりの事例が多くあった。人が近くにいることで機械が速く動くわけでもなく、生産量を上げるわけでもない。その時間こそが他の仕事に着手でき、ラインの人員削減が必ず見えてくるはず」と指導した。