コロナ禍で実習生が減少、特定技能人材の受入れを支援
�螢吋ぅ坤咼紂次‖緝充萃�役 香山俊巳氏（上）
外国人技能実習生の受入れ監理団体、次世代創造協同組合の母体である�螢吋ぅ坤咼紂�（東京都千代田区）は2019年にスタートした新在留資格制度の「特定技能１号」の人材を食品製造業に紹介している。これまでに関東圏を中心に10工場で50名以上の実績がある。コロナ禍で技能実習生の入国が困難な状態が長く続いているため、特定技能１号に注目が集まっている。香山代表は「一定の日本語能力と技能・経験を持った人材の中からお客様のニーズに合致し選び抜いた人材の受入れは生産性の向上につながる」と強調する。
香山社長
――コロナ禍で技能実習生が来日できない状態が続いている。
香山 来日が困難なだけでなく、技能実習を修了した後で帰国する人が増えています。特に中国人の帰国が進んでおり、減少数が目立ちます。技能実習生の数が最も多いベトナム人は、コロナの社会的な隔離が進み、航空便の運航が止まって帰国が難しくなっており、レスキューフライト（緊急帰国便）で帰国している状況です。
技能実習生はコロナ前に比べ、昨年末で10％減、現在は全体で20％程度は減少しているとみられます。
――技能実習生が減少すれば、食品工場などは人繰りが大変だ。
香山 コロナ禍による巣ごもり需要の拡大で市販用商品の受注が伸びている製造現場などは、稼働時間を延長したくても夜勤は人が集まらない。そこで技能実習修了者が移行する「特定技能１号」の人材の中から最適な人材を紹介するケースが増えています。
特定技能１号、食品業界は8000人以上
――「特定技能１号」とは？
香山 日本で就労が認められた在留資格です。対象は飲食料品製造業（特定技能飲食料品製造職種）や外食業など特定14分野。在留期間は通算５年間です。
2019年12月末は約1600人でしたが、2021年３月末で２万2500人にまで増えています。このうち飲食料品製造が最も多い8100人です。１年間で6700人も増えました。
――国別ではどこが多い？
香山 飲食料品製造業はベトナム人が6100人と75％以上を占めます。特定技能の在留資格は日本語能力や技能の試験に合格して取得するルートと、技能実習２号を修了した後に移行するルートがありますが、技能実習ルートが約85％と圧倒的に多いです。
これは、インドネシアやフィリピン、ミャンマーなどと違って、ベトナム国内で特定技能資格の試験が進んでいないためです。ベトナム人の技能実習生の多くが特定技能に移行しています。
――技能実習生と特定技能の違いは？
香山 特定技能は労働者という位置づけです。そのため受入れ人数に制限がありませんし、製造現場の指揮命令系統に組み入れることができます。
賃金については、彼らは技能実習を３年間経験しており、日本人の従業員と同等以上を支払うことになります。高卒４年目相当が目安です。
大手で就労経験のある人材を中小に紹介も
――企業側にはどのようなメリットがある？
香山 企業側から見れば雇用期間が５年間ということになり、人材構成の見通しが立てやすくなります。
日本人の派遣労働者は予定通りに出勤しなかったり、労働の質が低かったりします。そのため特定技能の人員をあらかじめ何名と決めて上方固定し、繁忙期に需要の急激な変化が起きた場合は、派遣労働者で調整すればいいという企業が増えています。
さらに、一定の日本語能力と技能を持った人材の受入れは生産性の向上につながります。大手食品メーカーで３年間、技能実習生として就労した経験のある人材の中から中小・中堅企業に最適な人材を紹介することも可能です。
――受入れ企業の傾向は？
香山 電車通勤の便が悪いため人材確保が難しい関東近郊、圏央道や外環道沿いに集中しています。夜勤体制も整えて生産効率を高めたい、安定的な操業体制にしたいという傾向が強いです。
入職後のサポート体制も充実
――技能実習生は減少しているが、特定技能の人材は安定して確保できる？
香山 毎月、大勢の技能実習生が特定技能に移行しており、企業から企業へ国内移動するケースが増えています。たとえば秋頃に人材を受け入れたい場合、当社は面接の設定から入職手続きまで約３カ月で完了することができます。
――入職後のサポート体制も重要だ。
香山 我々は人員計画に基づいて最適な人材を提案する導入コンサルから在留資格の申請手続き支援、入職者の生活サポートまで手がけます。入職後は業務マニュアルを翻訳・作成するほか、毎月の訪問指導とＳＮＳを使って常に相談、連絡が取れる体制を構築します。また、独自に開発したカルテ式の評価制度（実習生カルテ）を用いて持続的な成長を支援します。
こうした対応で特定技能の人材を安心して活用できる環境を提供します。
（次号につづく）
（こうやま・としみ）1965年熊本県生まれ。大日本印刷で海外事業に従事。義姉の参議院議員選挙で選対事務局長を務めたのがきっかけで社会起業家を志す。2001年国際人材支援・活用コンサルの�螢吋ぅ坤咼紂次�2008年中国事業支援の�� Lemay Japan、2017年次世代創造協同組合設立。中長期の社会研究を行い、企業にイノベーションを提案するとともに、海外展開を見据えた国際人材を紹介している。亜細亜大学大学院アジア国際経営戦略研究科で講師を務める。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。趣味は直心影流法定（古流剣道）、ゴルフ、水泳、クラシック音楽、古典輪読。