キユーピーはグループ全体で野菜との関わりを深めている。
野菜を取り巻く環境が、農業人口の減少、高齢化、耕作放棄地の増加、異常気象による相場の乱高下、野菜摂取量の不足――等に伴い悪化していることを背景に、同グループでは①食育と野菜の啓蒙(野菜摂取量拡大を促進し、健康な生活に貢献②野菜原料の安定調達(グループが扱う年間10万tの野菜原料を安定的に、有利に調達するための仕組み作り)③戦略素材となる野菜の調達(入手困難な良質野菜原料の栽培にも関わる)――が骨子。
①食育と野菜の啓蒙のため、複合型の農業テーマパーク「深谷テラスFarm(仮称)」を埼玉県深谷市に2019年開業する。
水菜、ゴーヤー、ズッキーニに続き「ロメインレタス」の楽しみ方を今年から紹介する。キリンシティ、和民など外食チェーンや有力量販店でロメインレタスの提供が始まっている。同社はCM、HP、LINEなどによりロメインレタスを使ったメニューを訴求している。生産量を増やすため全農とタイアップで全国の産地に呼びかけたところ「今年の作付面積は昨年の1.5倍に増えた」(同社)。グループ協働担当の兵藤透取締役常務執行役員が9月29日説明した。
②原料の安定調達のため、兵庫県朝来市で生産法人、ヤンマーと同社の3者が耕作放棄地を畑によみがえらせ、大規模農業を推進している。埼玉県所沢市ではきゅうりの水耕栽培を始めた。年3回、計24万本を昨年収穫した。
③戦略素材として、大分県では「くにみ農産加工㈲」がバジルを栽培し、キユーピーが業務用冷凍食品「バジルソースベース」として商品化した。くにみ周辺の生産地管理システムを導入し一括管理している。兵藤常務は「生産性の向上ノウハウは優良生産者から学ぶなど有機的に連携し、成果を高めようとしている」という。