東証上場の勢い駆って新工場建設、生産能力増強へ
守谷輸送機工業 代表取締役社長 守谷貞夫氏

    守谷社長

 守谷輸送機工業(横浜市)は大型の荷物用エレベーターでシェアトップの6割を占め、売上高はこの5年間で年平均7.5%増と成長トレンドを維持し続ける。今年3月には東証二部(現スタンダード)に上場を果たした。さらなる競争力の確保に向け、新工場建設で生産能力の拡大を図る。守谷社長はプライム市場への昇格を見据える。

 ――業務用エレベーターの市場環境は?
 守谷 倉庫・物流施設の新設や老朽化したエレベーターの入れ替え需要が増えており、追い風が吹いています。この需要増に合わせて、保守契約件数も順調に増加しています。

 ――大型の荷物用ではシェアトップだ。
 守谷 市場シェアは6割を占めます。荷物用エレベーターは受注案件ごとに仕様が異なるため、図面の標準化が難しい。当社は図面と部品の標準化に成功しており、他社では対応できない案件が回ってくるケースも多くあります。

 ――冷凍冷蔵倉庫の需要動向は?
 守谷 最近は不動産ファンドが建設する冷凍冷蔵の案件が増えています。当社は冷食大手だけでなく、ファンド系からも請け負っています。冷凍冷蔵倉庫のエレベーターは結露対策が不可欠。当社は昇降路内の配線をなくした独自の工法を開発しており、故障が少なく、価格競争力もあることが強みです。

新工場は2カ所、年間生産能力600台へ

 ――東証に今年3月上場した。調達資金の使途は?
 守谷 新工場を本社(横浜市)近くに建設します。竣工は2023年7月を予定しています。建設投資額は約8億5000万円。土地は5年前に自己資金で確保済みです。これとは別に新工場を来年着工する計画です。投資額は約18億円。自己資金でまかなう予定です。

 現在は生産能力が年間約500台ですが、これを600台に引き上げて、旺盛な需要に対応していきます。

 ――垂直搬送機の新製品「マックリフターV」をこのほど発売した。
 守谷 コンベアの駆動部に欧州製のモーターを採用するなど、従来機種に改良を加えて静粛性向上と原価低減を実現しました。搬送機の技術提案も、今後強化していきます。

 ――保守契約も売上げの柱では?
 守谷 前期末のエレベーターの保守契約台数は約6400台となり、保守売上げは全社売上げの4割強を占めます。当社は全国にサービス拠点を構え、トラブルや不具合が発生した場合、24時間365日対応します。この復旧能力の高さは他社の追随を許しません。お客様にも大変喜ばれています。

 ――今後の目標は?
 守谷 新工場を早期に稼働させるほか、滋賀大学と提携するDX(デジタル変革)分野の研究開発を進めて、売上げの持続的な拡大を図ります。当然、東証プライム市場への昇格もめざします。

 (もりや・さだお)神戸製鋼勤務を経て1969年守谷輸送機工業入社。社長室長、常務、専務を経て83年から現職。業務用エレベーターの新設・入替え、船舶用エレベーターの3サービスを事業領域とし、大型業務用エレベーターのトップ企業に育てる。22年3月東証二部上場。22年3月期の売上高は約138億円。1940年12月生まれ、81歳。神戸市出身。滋賀大学経済学部卒。