グループ冷蔵倉庫の最新モデル、随所に“初”づくし
マルハニチロ物流 川崎第三物流センター

同社初の免震構造

 マルハニチロ物流が14年2月に竣工した川崎第三物流センター(川崎市川崎区東扇島)は「当初の計画よりも荷受け量は上昇。忙しい日が続いています」(鈴木博之所長)と順調なスタートを切っている。同社最新の物流拠点とあって、随所に“初”の試みがみられる。最先端の技術が結集する、この“川崎第三”にグループはもちろん、同業他社も注目。同社冷蔵倉庫の最新モデルと位置づけている。

社内外で注目、倉庫管理システム

川崎港コンテナターミナルに近接、首都高湾岸線の
インターも近い

 免震構造の採用とともに、センターの開設にあたって新たに取り組んだのが、タブレット端末を組み合わせた倉庫進捗管理の新システムの構築だった。これにより、管理伝票のペーパーレス化や情報の一元化で、業務効率を大幅に改善している。
 実際の現場作業では、出庫業務の際に荷物に貼付された荷札のバーコードを、ハンディスキャナーで読み取ることからスタート。ハンディスキャナーから、Bluetooth経由でタブレット端末に読み込ませたバーコードの情報は、ネットワークで共有されたデータと照会され、タブレット上に表示される。現場スタッフは画面に表示されたデータを見ながら、商品の検数作業を行い、その場で入力する。そのデータが無線LAN経由で再びシステムにフィードバックされ、送り状としてレーザープリンターから印刷される。
 これにより、従来のような印刷物の伝票の場合、濡れたり破損したり、紛失するなどのリスクを解消できた。また、印刷コストの削減効果も大きく、以前のようにドットプリンターや専用伝票を使う必要がなく、電子媒体やカット紙で可能となることも、費用削減に役立っている。
 特に、「情報をリアルタイムに、他のどの現場でも共有して確認できるので、誰でもどこからでも作業の進捗状況を把握できるのが大きなメリット」と鈴木所長。「進捗が遅れている現場があれば、応援を動員する判断も容易にでき、柔軟に対応できます」と語る。
 このタブレット端末を使った倉庫進捗管理システムを導入しているのは、同社では川崎第三だけとあって、グループの他の現場から視察が相次いでいる。今後、ヨコ展開できないかと検討している。また、グループだけでなく、同業他社からの見学も受け入れており、多くの物流関係者が注目するシステムとなっている。

大消費地の“食”を預かる

浜口副部長(左)と鈴木所長

 稼働からおよそ2年。その間、東京平和島の東京団地冷蔵の全面建て替えがスタートすることにより、東扇島全体の入出庫量にも影響が出ている。
 「平和島の再整備を念頭に置いての、川崎第三の立ち上げ。当初から物量が増えるだろうと予測していました。おそらく、それまでの第一、第二だけでは対応できなかったことでしょう」と同社関東支社営業課の浜口辰晴副部長は語る。浜口副部長は川崎地区を担当している。
 「当社の川崎の拠点の物量は伸びています」(浜口副部長)。東京、横浜という大消費地に挟まれた東扇島とあって、加工食品や冷凍食品の取り扱いが特に増えている。
 それに呼応するかのように立ち上がった川崎第三は、そうした加工食品や冷凍食品の取り扱いを主体としている。「原料を主体とする川崎第一、配送センターの機能を担う川崎第二。これらを合わせ東扇島地区内の3センターの機能をうまく活用し、多温度帯での対応や、通関〜保管〜配送といった一貫物流と、ニーズに応える体制をよりいっそう整えていきます」と浜口副部長。「お預かりしたお客様の大切な荷物。その期待を裏切らない仕事を続けていきます」。浜口副部長と鈴木所長の2人はそう語っている。