昨年から焼おにぎりを生産
たれ塗って焼く工程２倍に増やす
ニチレイフーズ関西工場
照りツヤ感を高めた「焼おにぎり10個入」
ニチレイフーズ関西工場（大阪府高槻市）は市販用冷凍食品「お弁当にGood！からあげチキン」や業務用冷凍食品「グレイビーハンバーグ」など畜肉加工品を得意としているが、市販用のロングセラー商品「焼おにぎり10個入」の生産を船橋工場（千葉県）から昨年移管した。同時に省人化を進め、焼いてたれを塗る工程をこれまでの２倍に増やすなど、新たな製法を取り入れて品質を高めている。
焼おにぎりに使う米は北海道産米。これまでは炊飯後に調味液を混ぜていたが、関西工場では炊飯中にほぐしながら味付けする方法に変更、米へのダメージを減らした。これにより、外はこんがり、中はふっくらした食感が実現できるという。
成形はふっくらした食感を出すため、２回に分けて圧力をかける。３回目のプッシュでベルトコンベアに押し出す。複数の成形機から流れてくるおにぎりを２列に整列させ、まず素焼きする。素焼きはやわらかく成形したおにぎりの形を保持するのと、噴霧したたれが中に染み込むのを抑え、香ばしさを高める目的がある。割った時の外側の茶色と内部の米の白色による色ムラが手作り感を醸し出している。
たれを塗って焼く工程計４回
トレーなしのため、包装工程で破れないように
フィルムをやや厚くしている
たれを塗って焼く工程を２回繰り返し、反転させて同じ工程を繰り返す。こまめにたれの噴霧と焼きを繰り返すことで、たれの香ばしさと“照りツヤ感”を実現した。
片面を焼いた後、ベルトを流れるおにぎりが落下する勢いを利用して反転させる。落下する高さと角度、落下時のクッション性などを微調整し、うまく反転する精度を高めている。
急速凍結後、つぶれや焦げ、うまく反転しなかった物を選別して包装工程に送る。トレーを使わない焼おにぎりは、縦ピロー型包装機を使う。落下させて袋に充てんするため、トレー入り商品に比べて包装フィルムをやや厚めにして破れにくくしている。
今秋のリニューアルでは醤油のブレンドを変更し、とろみを加えたたれにした。醤油の照りとツヤ、香ばしい風味を一層向上させているのが特徴。
昨年秋、俳優の鈴木亮平さんを起用したテレビＣＭを放映。今秋は同じくリニューアルした「今川焼（あずきあん）」と一緒に「焼（やき）」×「焼（やき）」コンビとして店頭のほか、ユーチューブやインターネットテレビ、ＢＳチャンネルで訴求している。
周りは住宅地、人手は比較的集まりやすい
正面玄関。右上の連絡通路で製造した商品を
冷蔵倉庫に送っている
ニチレイフーズ関西工場が稼働した当初、周辺は畑だったが、時代の移り変わりとともに住宅が増え、大規模な食品工場としては珍しい、最寄りの駅から徒歩５〜６分で通勤できる立地にある。
敷地内には物流センター（ニチレイ・ロジスティクス関西高槻物流センター、保管能力１万8680ｔ）を併設しているため、生産した商品はすべてベルトコンベアに乗せて倉庫に送る。他の工場のように、トラックで搬送するコストが抑えられるのが強み。
立地上、周辺への騒音や臭いの防止に気を遣いながら、騒音や臭いを防ぐ技術の後押しもあり、近隣からのクレームはないという。地域住民との交流にも力を入れ、夏祭り、秋祭り、高槻シティーハーフマラソンなどに協賛しているほか、少年野球大会（ニチレイ杯）を開いている。月１回は工場周辺を清掃し、年に２回は高槻市内の清掃もしている。
他の食品工場同様、人手不足ではあるものの、志賀健吉開発グループリーダーによると「住宅地に近い分、他の工場よりは比較的集まりやすい」という。焼おにぎりの省人化についても「感覚的には人員が半分になった」とかなり効果を上げている。
▽設立＝1969年４月、冷凍焼売、メンチカツの自動化専門工場として▽所在地＝大阪府高槻市東上牧１−２−５▽敷地＝３万7669�屏Ψ�物＝１万677�屏�従業員＝約500名▽生産能力＝日産約120ｔ▽認証＝ＦＳＳＣ22000、ＩＳＯ14001