西東京に進出、対応が難しかったエリアをカバー
デリカフーズ 西東京FSセンター（上）
デリカフーズの西東京FSセンターは昨年５月に竣工した。敷地面積2027�屐�延床面積3263�屬裡騎�建て。１階は保管・出荷スペース、２階は休憩スペース、３階がカット野菜の加工工場、４階が加熱加工工場、５階が事務所になっている。社員26名、パートは製造に200名、出荷に50名。売上げは2017年度36億円を見込んでいる。
西東京FSセンター外観
同社は東京都足立区の東京FSセンター、神奈川県大和市の神奈川事業所、大田市場内に仕入れをするための太田センターを持つが首都圏南部に偏っており、北西部に足がかりがなかった。そこで西東京に拠点を設けて新しい顧客の獲得や既存顧客のフォローをする。
同センターの目の前にある国分西東京総合センターの一部、260坪を借りて西東京デポセンターとして使用しており、オートメーションピッキングラインを設置している。１アイテム最大10kgまでコンベアで搬送でき、１時間に最大3000ピースを仕分け、50店舗分を同時にピッキングできる。今後も国分西東京総合センターと協力し、立地特性を活かして（リードタイムの短かさ等）、新たな流通の仕組み作りに挑戦するという。
また、このエリアは支持層までの地層が浅く、地盤が安定していることから、支持層に直接基礎を打つ工法を用いて建物を建築しているほか、非常用発電機の設置により、災害時の一時対応を可能にする等、非常時の他事業所へのバックアップ体制の面でもシナジー効果を見込んでいる。
室温４℃以下、完全自動化ラインを導入
西東京FSセンターでは同社がこれまで積み重ねたFSセンターのノウハウを最大限に活用し、室温４℃以下のスーパーコールドチェーンを構築している。空調はソックチリングシステムを採用した。筒状の特殊な布製フィルターにより、室内の気流を均一にするシステムで、気流が直接体に当たらないほか、清潔で静かな環境が保てるなどの効果がある。冷気で野菜が変色することもない。
カット野菜工場にはフルオートメーション化による完全自動化ラインを導入した。レタスなどの葉物野菜をカットするラインで、下処理で不可食部を取り除いた野菜を、大型のスライサーで規格に応じてカットし、異物洗浄機を通した後に目視検品を行う。その後は、搬送コンベアがカット後の原料を洗浄工程、脱水工程、計量工程、脱気工程に送り、重量チェック、金属反応チェックを経て、最終的にラベルを貼付して製品が完成する。洗浄工程から金属反応チェック工程までは基本的に人手に触れることがないため、製品の品質向上と作業員の省力化が図られている。
葉物野菜を大量に処理するために、スライサー、目視検品台、５槽式殺菌洗浄機は特別仕様の大型のものとなっているほか、目視検品台にはLED照射機能がついており、従来の物よりも視認性が大幅に向上している。
顧客からの異物混入に対する厳しい要求をクリアするために、カット後の野菜はまず機械式の異物除去装置を通り、さらに人の目で目視検品され、大型殺菌洗浄機を通されて、計量工程に送られており、異物除去工程については最新の注意を払っている。
天井の円筒状の布がソックチリングフィルター、
野菜の殺菌は微酸性電解水を使用
殺菌には微酸性電解水を使用している。高い殺菌効果を持ちながら、臭いがほとんどなく肌にもやさしいのが特長で、食品添加物に指定されており、野菜に与える負荷が少ない。野菜のおいしさに影響するので、次亜塩素酸Naは顧客からの要請がない限り使用していない。
もう１つの機械式生産ラインは、セミオートラインと呼ばれており、殺菌洗浄工程までは全自動ラインと同じ工程だが、脱水工程が自動ではないので、脱水機と計量機との間に人手が入る。
こちらの包装工程は縦型ピロー包装機を使用しており、パックスピードが速く、１時間に2300〜2500パックを生産する。個食用の小袋対応がしやすいく、印字もプリント対応となっているため、ラベル貼付の手間もかからない。
その他に、規格に応じてスライサーの機種を使い分ける手切りのラインを複数設置しており、少量多品種の製品については、こちらで生産を行っている。
原料庫は１階にあり、カット野菜の原料は全て、１階で開梱されたものが、オートレーター（垂直搬送機）で３階の製造室に運ばれる。虫や異物の侵入を避けるため、製造室には一切の段ボール類を持ち込まない。
カット野菜の処理量はトータルで１日平均13t、４万5000パック。最大で20t、６万5000パック処理できる。24時間稼働で、清掃は製品切り替え時やアイドルタイムに行っている。大型の機械式ラインの清掃には大変な手間がかかるため、生産性をあげるためには、同じ原料野菜を使用する製品の生産時間をできるだけ固める、ミックス商品を行う前に単品商品を生産する等の工夫が取られている。（次号へ続く）